28話 おしゃれなお店で昼食

 試着室の一件の後、夏楓さんは気に入ったらしい洋服を三着ほど買って、僕たちは村川さんにお礼を言って店を出た。


「ふふっ。お姉さんに怪しい目で見られちゃったね」


 お店を出てしばらくして夏楓さんは楽しむようにそう言った。


「いや、なんで凄く楽しそうなんですか」


 そう。僕たちが試着室を借りてから長い時間がたった後にレジに顔を出したので、村川さんに怪しい目で見られたのだった。もちろん、僕はなるべく村川さんと目を合わせないようにした。まぁ、なぜ夏楓さんはあんな何もなかったように村川さんとお話しできてたのかは甚だ疑問だが、夏楓さんのコミュ力が異常に高いという理論で無理やり納得することにした。


「ねえ奏音くん、次は何をする?」

「そうですね。時間は……十一時半ですか。少し早いですけどお昼ごはんにしましょうか」

「うん! 何食べようか?」

「夏楓さんの食べたいものが食べたいです」

「えぇー何それー」

「そのままの意味です。夏楓さんは何が食べたいですか?」

「うーん。おいしいイタリアンがいい!」

「了解です。でしたら……五階にレストラン街があるみたいなので行きましょうか」


 エレベーターで五階に上がる。さっきから夏楓さんが僕の右手に引っ付いているのは気にしないことにした。だって、夏楓さんめっちゃ幸せオーラ醸し出しているんですもん。おかげで周りの視線が痛い。


「ありました。ここにしましょう」


「いらっしゃいませ。二名様でよろしいでしょうか」

「はい、二人です」

「かしこまりました。お席にご案内します。Si tratta di una guida per due persone!」


 ん。なんか最後外国語? イタリア語だろうか。


「すごい! なんか違う言語話してたね。イタリア語かな?」

「みたいですね」


 興奮気味に夏楓さんが言う。僕らの会話が聞こえていたのか、店員さんは褒められて少し顔を赤くしていた。


「こちらです。お決まりになりましたらこちらのベルでお知らせください」


「ありがとうございます。んー何にしよう」

「うわー。日本語の横にイタリア語まで書いてありますよ。さっきといい、想像以上に本格的なお店ですね」

「だねー。うーん。ピザもいいし、パスタも美味しそうー」

「……僕はこのモッツアレラのボロネーゼパスタにしようかなぁー」

「あーそれ私も狙ってたやつー!」

「じゃあ、半分こしましょうか。夏楓さんも、もう一品何か選んでください。半分こしあいましょう」

「え、いいの? じゃーあー……この卵たっぷりなカルボナーラにする」

「わかりました、ベル押しますね」


 注文を済ませ、僕は朝から気になっていたことを夏楓さんに聞く。


「あの、夏楓さん。今日は珍しく香水つけてますよね?」




 ☆☆☆


 筆者から皆様へ


 皆様こんにちはー。

筆者はこの先しばらく時間に余裕のある生活ができそうなので、当作品の更新頑張りたい(できれば毎日更新)と思ってます! よろしくですー!


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