17話 夏楓さんと電話
あれから家に帰って、もろもろのことをすませ、寝る準備をしていたころ、夏楓さんから電話がかかってきた。
『もしもし、奏音くん?』
『どうしたんですか、いきなり電話なんて』
『それなんだけど、さっきの話、奏音くんがえっちなこと言って途中で途切れちゃったから』
『ああ、確かに。てか僕の責任なんですかそれ……』
『でさ、本屋デートしない?』
『えっ。本屋デートですか』
『うん。奏音くんと出会ってからわたしね、少しずつ読書に興味が出てきたの!』
『本当ですか。嬉しいです!』
『うん。でね、私ね、どうやら恋愛小説が好きみたいなの』
『なるほど、確かに女性の方は恋愛ものが好きな方が多いイメージありますね』
『でさ、奏音くんと一緒に本を探したいなーって思ってて』
『いいですね、楽しそうです。さっそく日曜日にでも行きましょうか』
『本当?! 行く行く。ふふっ、奏音くんとの初デートだ。楽しみ!』
電話の向こうで夏楓さんがとても楽しそうにしている姿が目に浮かぶ。
『ですね、気合い入れてかっこいい服装しないと』
『じゃあ私も奏音くんが鼻血出すくらい可愛い恰好していくから覚悟してね♡』
夏楓さんの声が可愛すぎてもうすでに出かかっているんだよなぁ……。
『じゃあそろそろ寝ますね。おやすみなさい。あと……好きです、夏楓さん』
『えっ……、はぅー。う、嬉しいんだけど、嬉しいんだけど、どうしたの急に』
『いや最近夏楓さんに言ってなかったなぁって思ってつい』
『ふふっ。ありがと奏音くん。……私も大好きよ、あなたの全部♡』
『……。も、もう寝ます! おやすみです!』
『あ、照れt……』
夏楓さんのカウンターに耐えきれなくて勢いよく電話をきってしまった。あれ。なんか鼻が熱いような……。なんか赤い液体が布団に落ちて……。
「って、鼻血? 母さん鼻血出たぁー」
あわてて奏音は部屋を出て、母に助けを求めるのであった。
☆☆☆
夏楓さんの甘々ボイス、聞いてみたいなぁ……
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