12話 ある”モノ”をかけた競争
「ディフェンス陣との連携?」
あまりバスケの知識を持たない僕は、その言葉の真意が分からずに思わず聞き返してしまう。
「ああ。バスケってさ、似たようなコートの配置のサッカーと比べると、コート一面が狭いわけだし、オフェンスをしていても、相手のたった一手で急に攻守交代、つまり危機的状況に陥りがちなんだ。だからいつ
「……だけど?」
「……ワイが部活中に見ている限り、オフェンスのリーダー的先輩とディフェンスのリーダー的先輩の仲が悪い気がする」
「ああ。なるほど」
「噂では、とある一人の女子の先輩を取り合ってるらしい……ほんと、馬鹿らしい」
つまり、恋敵というやつか。なんだか面倒くさいと思ってしまう。
「部活の練習に私情を突っ込むなって感じなんだけど。やっぱこれ甘いな」
店員さんが持ってきてくれたパフェにありつきながら湊音は言う。
「よくあるやつだな。まぁそういうのって大体二人ともその女の先輩さんに振られるやつな」
「まじそれな。争ったところで意味ないつーの」
「? なんでそう言い切れるんだ?」
「だってその女子の先輩って七川先輩だからな」
「はっ? げほげほ」
あまりの衝撃に口に含んだアイスがそのまま喉を通り過ぎてむせてしまう。
「おいおい。驚きすぎだろ」
湊音が水を差しだしてくれる。
「ありがと……。ふぅ。まぁ確かに沙那さんも夏楓さんに劣らずの美人さんだしな」
水を飲んで一度落ち着いて考えてみる。
「さらっと彼女以外の女の人の容姿褒めるんじゃねーよ」
半笑いで突っ込まれる。
「でもあの沙那さんが彼氏を作るかって言うとなぁ。あんまイメージできん」
「同感だ」
イチゴを口に含む。甘い。
「今度沙那さんに気になる男子がいるのか聞いてみようかな」
「麻倉先輩に変な嫉妬をさせかねないぞそれ」
「……確かに、やめとこ」
しばらくお互い無言でパフェを頬張る。
「バスケ部も大変だな」
「まったくだよほんと」
本音が駄々洩れの湊音に思わず苦笑いしてしまった。
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