親父の夢

親父の夢

　最近娘とは話せていない。

　忙しそうに大学に通ったりバイトをしていて帰ってきてもすぐに自分の部屋に篭ってしまう。

　妻から聞いた話だと彼氏がいて休みの日もデートで忙しいんだとか。

　私は別に娘に彼氏がいるのはいいと思っている。若いうちは色んな人と付き合った方がいい。というのも、私は妻としかお付き合いしたことがないからだ。

　後悔したもんだ。もっと色んな人と……。でも、私は妻といられて幸せだ。色々あったが、感謝している。

　昨日は成人式で帰りが遅かったようだ。もう夕方だが、顔を見せない。

　娘は難しいものである。

　昔からの夢があったんだが、叶わないかもしれない。

　トットットッ

　娘が降りてきた。

　部屋着姿で髪を結んでいる。今日はどこにも出ないのだろう。

　私はテレビに視線を向けていた。

「ねぇ、飲まない？」

　視線を向けると娘がビールを持っている。

「あぁ。飲むか」

　ピールを空けて三人で乾杯する。

「んー……ビールにがっ」

　私の夢が、叶った。