第47話 セクハラ発言も人次第
軽くメイクを直して、服にシワが付いてないかも確かめて。
財布と携帯とハンカチとティッシュ、あと口紅だけ入れた小さなバッグを斜め掛けし、すでに準備万端の桜城さんの前に立つ。
「うまいもん、食いにいこ」
「はい」
部屋を出た瞬間から、手は恋人つなぎ。
まだまだ慣れなくて、指先に力を入れるのにも勇気がいる。
「気楽にいきたいから、居酒屋にしてみた。
今日は好きなの飲んでいいよ。
万が一つぶれてもおんぶして連れて帰ってあげるからさ」
「私軽くないんでそれは遠慮したいなあ・・」
「俺は是非ともしたいけどね(笑)」
「それ、桜城さんじゃなかったらセクハラ発言ですからね(笑)」
「うわ、やっべ(笑)」
ふはって吹き出しながら桜城さんが言うけれど、もし他の女子社員の前で「おんぶしてあげる」なんて発言したら皆こぞって潰れるんじゃないかしら?
斜め下からじーっと見ているとそれに気付いた桜城さんがニヤッと笑って
「なーんてな(笑)薫以外には言わないよ、もちろん」
とか悩殺する勢いで顔を近付けてくるから思わずその場に硬直してしまった。
「おーい、歩いてー(笑) 俺ハラ減ったー!」
くんっ、と手を引っ張られながら私は思った。
私、いつかコロされる・・・っ!
桜城さんのキラキラにヤられちゃう。
そんなクラクラな私の内心も知らず、道行く女性達の視線も慣れてるのか完全無視してご機嫌で私の手を引き歩く桜城さん。
「こっちに住んでた友人に聞いたとこでさ。
地物が美味いんだって」
歩いて数分、着いた先は鍋料理が自慢らしい居酒屋さんで。
入った瞬間ぷんといい匂いがして、空腹のお腹を刺激した。
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