第46話 綺麗な寝顔
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触れるだけのキスを何度かし、ドキドキし過ぎて目も合わせられなくなった私に桜城さんが「ごめん」と呟く。
何に謝ってるの・・?
そう思った瞬間、桜城さんの腕が頭を包み込み、そのままベッドへ転がされた。
「え・・っ!?」
腕枕状態でぎゅうっと抱き込まれ、カチンと身体が固まる。
「っ桜城さ・・っ?」
裏返った声で名前を呼ぶも、返事は返ってこない。
耳のすぐ上から聞こえてくる呼吸音に、思考がソッチへ傾いていく。
あの・・嫌じゃないんですけど!
でもこんないきなり・・・っ
しかもシャワーも何も無しでっていうのは・・・!
ああ、こんな事なら今朝買った下着早速着けてくるんだった。
全く緩まない腕の力に頭の中がこんなことばかりで埋まっていく。
一人悶々としながら大人しく腕の中におさまっていると・・・
暫くして聞こえてきたのはさっきより幾分かゆっくりになった吐息。
というか・・・
これ! まさか! 嘘でしょー!?
抱き込まれて不自由な中、うんしょと顔を上げてみると
「・・・・・はあー・・・」
寝てるし。
このドッキドッキはどこへ向ければいいんだ!
私の大きな溜め息に少し身動ぎした桜城さん。
だけど起きる気配は全く無い。
確かに? 夕食の時間までには間があるから少し休もうとは言ってたけど!
間近にある綺麗な寝顔に私の方は眠れそうに無い。
にしても・・・
イケメンは寝顔もイケメンなのねー・・・。
ほんと・・・
「綺麗な顔・・・」
睫も長いし。
私が毎朝必死でマスカラしてるっていうのに、なんかズルイ。
そうして、ずっと桜城さんの寝顔を見ていたのだけど。
・
・
「・・ろ・・・薫?・・・時間・・ぞ?」
「ん・・・?」
ゆらゆらと身体が揺らされながら、耳元で優しい声がする。
大好きな声で名前を呼ばれて・・・夢みたい。
「起きろー。メシの時間」
だけど、その声はだんだんハッキリしてきて、言葉も段々ザツになる。
「時間・・・?」
ゆっくり目を開けると、目の前には笑ってる桜城さんの顔があって。
「!?」
「起きないとキスするぞー(笑)」
「、キス!?おおお、おきてますっ!」
「なんだ、残念(笑)」
くくくっと笑いながら先に桜城さんが起き上がると、やっと働いてきた頭がさっきの言葉の意味を理解して、ちょっとだけ、残念、とか思った。
ハズカシイから言わないけど!
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