第43話 チェックイン
・
さすがGW、私達以外にも大きな荷物を持った人々が一斉に駅から出て行く。
家族連れやカップル、友人同士・・・。
そんな中に混じって私達もゆっくり歩く。
「先にホテルにチェックインして、少し休もう。ちょっと疲れたし」
駅構内のベンチで止まった桜城さんがそう言うのに「そうですね」と頷く。
楽しかったけれど慣れない電車の椅子にずっと座りっぱなしで確かに少々疲れた。
「チェックインには少し早いんだけど、ホテルには言ってあるから。行こう」
私の旅行鞄をさりげなく自分のトランクに載せた桜城さんはすっと私の手を取って歩き出す。
「あっ・・・」
「―――手ぇ、繋ぎまくるって言っただろ?」
引っ張られて思わず握った大きな手に、桜城さんがチラッと私を見て言った。
なんか、「ふふん」みたいな得意げな顔つきで。
「この旅行中、基本これで行くつもりだから、慣れてね(笑)」
「う」
え、3泊4日、ずっとこの状態・・・?
きゅっ、きゅ、と握られた手はあったくてでも力強い。
守られてるって感じで、また胸が高鳴った。
・
桜城さんが予約してくれたホテルは駅のすぐ近く。こんなギリギリの日程でよく取れたなってくらい立地も雰囲気もいいホテル。直前でキャンセルでも出たのかな。
チェックインする間の数分だけ離された手は部屋に向かう少しの間もまた繋がれ、ドキドキして身体が熱い自分の手汗が心配になった。
けど。
手を繋いだくらいでドキドキしてる場合ではありませんでしたよ。
桜城さんの後ろをついて歩いて入った部屋は、広めのツインルーム。
そうです。
二人一緒!
いえ、覚悟はしてましたよ勿論。
おまかせするって言ったのも私だし。
でもやっぱり心の準備が!
着替える時もシャワーの時も桜城さんがすぐ近くにいるかと思うと!
もう、どうしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます