第40話 彼女っぽい



電車を乗り継ぎ、新幹線に乗り込むと桜城さんは自分の荷物と一緒に私の荷物も棚に上げてくれた。

そして早速お弁当をテーブルに乗せる。

せっかくだからとコンビニ商品ではなく駅弁を買った。

私はオーソドックスに幕の内、桜城さんはヒレカツサンドとコールスローサラダを買っていた。


「とりあえず食おう。腹減った(笑)」

「そうですね。私も朝少ししか食べれなかったのでペコペコです(笑)」


何をしてて食べる時間が無くなったのかは言えないけど!


「いただきまーす」「いただきます」


二人で声を合わせてお弁当を開け、二人でテンションを上げる。

駅弁って、コンビニ弁当より値段が張るだけあって華やかだよね。


「美味しそう!」

「こっちも見てみ?この厚い肉・・・ん!うめっ。すっげ軟らかいし。薫、いっこやるから食ってみ」

「っはい! ありがとう、ございます」


桜城さんは自然に名前を呼んでくれたけど、さすがに数時間前に成り立てほやほやの彼女なもので、改めて実感してすぐの微笑み付きの呼び捨てに盛大に照れてしまい一気に顔が熱くなる。

すると、隣でサンドウィッチを差し出していた桜城さんがぼそっと言ってきた。


「もー。今俺すっげ自然に呼べたつもりだったのに。

そんな風に顔赤くされると、こっちも照れちゃうじゃん(笑)」

「いや、だ、だだって。まだ慣れなくて・・・嬉しいのは嬉しいんですけど」


そう、嬉しいのは嬉しいの。

やっぱり呼び捨てって『彼女』って感じするし・・・。でもまだ照れる・・・っ!


「嬉しいんだ(笑) よし、いっぱい呼んで慣らそう!名前くらい自然に呼びたいし」

「あの・・お手柔らかにお願いします」


あんまりイケメン度を上げられると卒倒しそうです、桜城さん。

・・・っていうか、私も名前で呼べとか言われたらどうしよう。

「晃さん」、なんて・・・。

うわ、ダメ。照れる///

想像しただけで悶えそうな私に、けれど桜城さんは。


「やーだよ(笑) 精一杯努めさせて頂きますのでね。覚悟してね(笑)」


何故かちょっと悪い顔で笑いながらそんな宣言をしてきた。

うう、そんな顔もカッコイイ――――・・・。

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