第21話 笑い上戸



「あのさあ」


つい今まで笑っていた桜城さんが、突然神妙な顔で話し出す。


「・・・はい」


私は何事かと、背筋を伸ばして次の言葉を待った。

のに。


「俺ってさあ、見た目ソコソコでしょ?」


続いた台詞に思わず「はあ?」と返してしまった。


「はあ?って(笑) やっぱ俺自惚れ過ぎ?(笑)」


「あ、いえ・・」


しまったよ。やっちゃいましたよ。

だって直前には仕事の話してたし、当然続きは仕事絡みの何かだと思うでしょ?

ああでも、失言は取り消さないと。


「すみません。あまりに話が変わってびっくりしちゃって。

えっと・・桜城さんは容姿だけなら、ソコソコどころじゃないです」


「っはは! だけなら(笑) 正直(笑)」

「っじゃなくて!言いたいのは!」


いや!だからね!?

違うんですって!!

まだ続きがあるんですって!

って思ってるのに、桜城さんは隣で笑い転げてる。

このヒト笑い上戸だし・・・暫くこのままかしら。


「ははははははっ!ははっ、はー・・・」


一度治まったかと思えば、私を見てまた笑い出す。

1・2分そんな桜城さんを見て、


「もー・・・違うんですって・・・」


横で呟けば、やっと笑いが止まった桜城さんが「あー・・・笑った笑った」と言いながらもう冷めてるだろうコーヒーを口にした。


「・・・マズっ!」

「でしょうねー」


そんなに美味しくないと言ってたコーヒーが冷めて美味しいわけが無い。

・・・で、えっと。

ああ、そうだ。


「私の話を続けても良いですか?」

「いいよ? 俺の、顔だけならソコソコの、ブハッ! 話の続き?(笑)」


もう自分で言って笑っちゃってるし。


「そうですよ? 話はちゃんと最後まで聞いてください?

私が新人だった頃桜城係長が私に言ったんですよ?」


またツボに入られる前に何とかしなきゃ。

なんか漫才みたいになっちゃったけど、最初は真面目そうな雰囲気で話し始めてたところをみれば、多分大事な話な筈。


「桜城さんの容姿はソコソコどころじゃなく、大変イケメンです。

もうね、女子社員に王子って呼ばれてるくらい」

「王子(笑) マジか(笑)」

「笑ってるけど、事実です。みんな言ってるし、知ってるかと思いました」

「しらねー(笑) さすがに王子と呼ばれた事は無い(笑)」


もー・・だから笑ったら話が進まないんですって!








※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

あけましておめでとうございます

今年もご覧頂きありがとうございます!

ついでに出来たらこのまま完結までお付き合い頂けたら嬉しいです。

よろしくお願いいたします♡

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