第18話 ふかふか過ぎです
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桜城さんの家は、私のところと同じワンルームだけど中はウチより少し広い感じ。
寮だけあって付いてる最低限の家具は一緒で、それに本棚とPCデスクが壁際にあり
大き目のソファと、それに見合わない小さめのテーブルがテレビの前に置かれてる。
窓際にあるベッドの上の布団が少しめくれていて、本当にここで生活してるんだ・・なんて妙なリアリティを感じて、今更ながらにこんなとこまで来ちゃってどうしよう、とか思った。
「適当に座ってて。今、コーヒーでも入れる」
動けなくなった私の後ろから桜城さんがそう声を掛け、ジャケットを脱いでソファの端っこに無造作に置きキッチンに入っていった。
「シワになっちゃいますよ?」
余計なお世話かと思いながらも言うと、ポットに水を入れていた桜城さんは
「あー、じゃあ・・その辺のハンガーに掛けといて」
と視線だけでラックを示す。
ひとつだけ空いてるハンガーにジャケットを掛けてラックに戻すと「さんきゅ」と笑った。
ぼーっと突っ立ってるのもなんだと、小さく「失礼します」と断ってソファに座る。
と。
「っ!?」
それは思った以上にふかふかで、腰掛けた瞬間ズボッとお尻が沈み込み、かかとがピョンと上がってしまった。
途端に、見られていたのか桜城さんにハハッと笑われてしまった。
「ごめん、言うの忘れてた(笑)
それ、大野さんのお下がり。すっげふかふかなんだよなー。
ふかふかすぎて寝れないって俺に寄こしたの(笑)俺は好きなんだけどな」
「びっくりした・・」
「思いっきり深く座れば気持ち良いよ。大丈夫。俺しかいねえし、寛いでよ」
カチャカチャと食器の音をさせながら言ってくれるのに、じゃあ、と奥まで腰を入れると、なるほど。包み込まれてるみたいで気持ちいい。
「な?」
「はい」
「難点は、立つ時が大変って事(笑)」
ああ、それはそうかも。
ここまで沈み込むと立つのはちょっとバランス力がいる感じ。
「ところでコーヒー、砂糖何杯入れる?」
ソファの上で小さく跳ねていると聞こえてきたカラカラという音と一緒にされた質問の返事に躊躇する。
砂糖3杯って子供味覚だよね?
「えっと・・・」
「あのクソ甘いミルクティー飲んでんのにコーヒーだけブラックってのは無いよな?」
知ってるぜ?ってニヤニヤ笑う顔は楽しそう。
ってか、バレてるならもういいや。
「3杯でお願いします」
開き直ると、桜城さんは「了解」と言いながらまた吹き出した。
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