27話 チート! 苦戦? 強くなる!












「「「「 いただきま~す 」」」」


「って、いつまでいるのよ~」


「あっ、すいません。食べ終わったら、洗い物は私が」


「そうじゃないでしょ。ダンジョンに出掛けるんじゃなかったの?」


「美味しいにゃ~」


「ノルン様、最強ですね」


「そうにゃ~」


「ほら、母さんの料理が美味しいって言うからさ」


「あつしは無職でしょ。ちょっとは働かないと……3人も……。あつしには責任があるんだからね」


「ふふふっ。ですよね~。でもお母様、大丈夫ですよ。しっかりと働いてますので」


「え? そうなの? ユウちゃんが言うなら……」


「はあ~。ユウが新しいスキルを覚えたんだよ。まあ、進化させたって言うのかな?」


「ユウちゃん、そうなの?」


「はい。帰還のスキルが進化したみたいで、帰還のスキルを発動した場所に戻ることが出来るようになりました」


「……ってことは?」


「すみません、毎日戻って来ることが出来るようになりました」


「ユウちゃんはチートにゃ」


「ユウ様は無敵ですよね」


「ってことなんだけど、毎日夕食の用意をお願い出来ないかな?」


「ま~。ユウちゃんは素敵に無敵なのね。ふふふっ、私は大歓迎よ。でも、あつし、食費くらいはお願いね」


「あっ。それならこれらをお兄ちゃんに渡してよ。高く買い取ってくれるから。それから、S級の成長率上昇の指輪が1つ余ってるけど、母さんが装備する?」


「……S級ってことは高いのよね?」


「ふふふっ。それ1つで国が買えるみたいですよ」


「………………お返しします。って、あつし達は使わないの?」


「僕達は皆持ってるよ。S級の階層までの宝箱から出るのは奇跡に近いアイテムみたいだけど、僕達が入ってるダンジョンはSSS級だから、70階層までで2つ見つけてるんだよ」


「ふふふっ。お母様は最強ですから、SSS級を見つけたらプレゼントしますね」


「あつし様のお母様なら無敵に素敵ですね」


「そうにゃ~。最強になれるにゃ~」


「ふふふっ。じゃあ~最強になろうかしら。そしたら、あつし達がどこにいても、お弁当届けられるようになるんでしょ」


「楽しみにゃ~」


「お弁当も最強なんですね」









ユウの帰還が進化したことで、僕達は家でのんびり休みながら、ダンジョンで暇つぶしが出来るようになった。









「ノルンが倒すにゃ~」


「こら、ノルン。ボス部屋には慎重に入らないとダメだって、いつも言ってるだろ」


僕は慌ててノルンの腕を掴んだのだが。


「ふふふっ。あつしは慎重よね~」


ユウがそう言いながらボス部屋の中へ。


「ユウ様。お供します」


サラまで中に。


「行かないにゃん?」


首をかしげるノルン。


「はあ~。行くしかないよね」


僕はノルンの腕を掴んだままボス部屋の中へ。





「あつし。早く手伝ってよ」


ユウが真っ赤なスケルトンと戦っていた。スケルトンの数は5体。真っ赤な骨に真っ赤な鎧に真っ赤な剣に真っ赤な盾。


真っ赤な剣を鑑定するとSSS級の剣で攻撃力強化(+300)と素早さ強化(+300)が付与されていた。


「限界突破にゃ~」


ノルンがユウを取り囲むスケルトンに向かって行く。


おっと、ユウがピンチだったんだよね。


僕はスケルトンの鎧と盾の鑑定を諦め、ユウに向かって走る。


「限界突破~。僕が相手だ~」


僕はユウに向かって剣を振り上げたスケルトンの背後から攻撃を。


僕の剣は一撃でスケルトンの首を斬り落とす。が……スケルトンは倒れずに、首を拾おうと手を伸ばす。


僕は復活されたら面倒なので、地面に落ちたスケルトンの頭を遠くへ蹴り飛ばした。


ユウもノルンも何度も斬り付けても倒れないスケルトンに苦戦している。サラが回復魔法を使ってくれてるので、スケルトンの攻撃を何度も受けているユウも無事に戦えているのだが。


「ユウ、ノルン。首を狙え。斬り落として、蹴り飛ばせば僕達の勝ちだ」


「そうなのね。全然倒れてくれないから無敵なんじゃないかと心配してたのよね~」


僕はノルンの背後から攻撃しようとしたスケルトンの首を斬り落とし、蹴り飛ばす。


ユウとノルンも僕の攻撃を見て、ユウはノルンに攻撃しようとしたスケルトンを背後から、ノルンはユウを攻撃しようとしたスケルトンを背後から攻撃し、首を斬り落とし、蹴り飛ばした。


そして最後のスケルトンも僕が背後から攻撃し、首を斬り落とし、蹴り飛ばした。


「土の精霊様。力を貸して下さい。土魔法、石弾」


サラが首無しスケルトンが落ちている頭に近づくと魔法で頭を、吹き飛ばした。


「シブトイはね。頭が無いんだから、いい加減に倒れなさいよ」


ユウはスケルトンよりも先に頭に近づき蹴り飛ばす。


「キックにゃ~」


ノルンも真似してスケルトンの頭を蹴る。


頭無しスケルトンは、頭を拾おうと、自分の頭に向かって歩いて行くだけで、僕達に攻撃しようとはしない。だが……何度攻撃しても倒れない。


不思議に思ったのでスケルトンを鑑定するとHPが全く減っていなかった。


攻撃が効いてないのか?


試しに攻撃した後に鑑定するとHPが減っていたのだが、凄いスピードで回復していく。


超回復のスキル持ちなのか? どうすれば?


僕達の限界突破には時間制限がある。もたもたしていると解除されてしまって、負けてしまうだろう。


なら。


僕は頭を追うスケルトンの後ろから手首を斬り落とし、剣を拾う。更に手首を斬り落とし、盾を拾う。


「ユウ。中々良い武具だから、収納頼む」


「分かったわ。ノルンちゃんも斬り落として回収してね。サラちゃんはそのまま吹き飛ばし続けて」


僕とノルンで残りのスケルトンの剣と盾を拾う。


残りは鎧だけ。


その鎧を鑑定して見ると、HP超回復と防御力強化(+300)が鎧に付与されていた。


これのせいだったのか。


頭と手首のないスケルトン。脅威ではないが、たおせない。


ならば。



「ノルン、手伝ってくれ」


「にゃ? 何するにゃ?」


「ノルンが足を押さえて」


「にゃ? 押さえたにゃ?」


「僕が引っ張る」


スケルトンから鎧を強引に脱がして、ユウに投げる。


「この鎧が無敵の原因だったの?」


「みたいだよ。超回復が付与されてるんだよ」


「凄いわね。……でも、装備したくないわよね」


「僕もスケルトンのお下がりはごめんだね」


「次行くにゃ~」


「その前に倒すよ」


「そうにゃ」


僕とノルンは鎧を脱がしたスケルトンに斬り付けた。


「よし、回復してない。さっさと倒して次行こう」


僕とノルンは追撃する。すると無敵のように感じていたスケルトンがあっさりと倒れて動かなくなった。






倒す方法が分かったので残りのスケルトンも同じ方法で倒して行く。


「楽勝にゃ~」


「弱い魔物だったのね」


「ユウ、何度も攻撃受けて、顔に傷が残ったらどうするつもりなんだよ。ボス部屋に入るのはもっと慎重になってよ」


「ふふふっ。顔に傷が出来たら、私は捨てられるの?」


「ユウ、そんなはずないだろ。あまりくだらない事言うと怒るよ」


「ふふふっ。ごめんなさい」


ユウはそう言うと僕に抱きついてきた。


「あつしが絶対に守ってくれると信じてるから、調子に乗っちゃたわね」


「そうだよな。何があっても僕が、ユウを、ノルンを、サラを守らないとね」


「ノルンは強いにゃ」


「私は守って貰うだけの人生は終わりにしました。あつし様を守れるように強くなりたいです」


「ふふふっ。皆で強くなればいいのよね。だよね、あつし」


「そうだね。みんなで強くなろうか」








ピンチになる前に強くなればいい。どんな敵でも瞬殺出来るくらいに。魔王は無理でも、四天王くらいは瞬殺出来るように。


「って、ことでレベル上げだね」


「疲れたにゃ」


「そうよね。レベル上げは面倒よね。ってことで帰るわよ」


あれ? 強くなるためにレベル上げする流れじゃなかったのか?


ユウ、ノルンの性格が急に変わるはずもなく、僕達はこれまで通りダンジョンをどんどん進んで行く。











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る