幕間10 チート? 嘘? 本当?













「古谷さん、説明して貰えますよね? にゃんにゃんに何をしたのですか? どうして、リタイアした私の疾風よりも先にダンジョンを出ることが出来たのですか? チート過ぎですよね?」


「古谷、さっきの説明が本当なら、たったの125日で異世界に行って、魔人から猫族を救い出し、戻って来たのだよな? チートというか、あり得るのか?」


「そう言われましても、事実としか」


「あり得ないわ」


「はあ、ならば、少しだけ補足を」


「やっぱり、何か隠してたのね」


「そういう訳ではありませんが、これまでに私が報告したことは、全て、にゃんにゃんのことだと言うことです」


「説明になってないわよ」


「レベル1でアイテムボックスを手に入れて、情報提供してくれたのも、ダンジョン入口で採掘出来ると情報提供してくれたのも、大量のオリハルコンを提供してくれたのも、にゃんにゃんだということですよ」


「そんな……」


「あ~、なるほどな。俺の調べでは、にゃんにゃんはレベル1の状態で大金を手に入れて、8年間も国内を旅してたとある。全国中で、俺達も知らないアイテムや武具を集めていたのだな」


「私は聞いてませんが、ダンジョンが出現して8年間、レベル1だったのは間違いまりませんね」


「あの猫耳の女性は何よ」


「1人は異世界で仲間にしたと聞いてますが、もう1人は分かりませんね。ただ、異世界で仲間にした亜人の猫族は賢者というチートなスキルを獲得しているようですね」


「賢者? どのようなスキルなの?」


「あらゆる魔法が使えるようになるスキルだと説明を受けてます。獲得するにはスキル枠が10も必要だとか」


「は? あり得ない。魔法を覚えたい者なら、空き枠が出来たら、攻撃魔法か、回復魔法を覚えてしまうでしょ。空き枠10なんて……。そんな高レベルになるまで、強さを求めずにいられるはずがないわ」


「こればかりは検証のしようがなく。帰還を覚えることが出来ると予想される空き枠3ですら、苦戦してますからね」


「どこまで本当なのかしらね。全てが嘘くさいわよね」


「そう言われましてもね」


「そこまでだ。古谷が嘘を付く理由はない」


「ですが、総監」


「先に、古谷から、提出された、これらのアイテムを見せるべきだったな」


「……これは? やけにレア度が高いですね? 古谷さん、これはどこで?」


「これらは、にゃんにゃんが501階層から600階層で手に入れたアイテムの1部ですよ。ちなみに600階層のボスであるキマイラの死体も提供して頂けたので、総監に提出してますよ」


「600階層だと。総監」


「別室で保管しておる。会議が終われば見に行けばよいだろ」


「ってことは……真実味が増しますね」


「そのキマイラの鑑定を先にさせて頂きたいわね。逃げ出すことの出来ないボス部屋に入るには、それ相応の準備が必要。短期間で封印のダンジョンを攻略してきた、にゃんにゃんにはあり得ませんよね」


「そうだな。ボス部屋に入るのは命がけだからな。どうなんだ、古谷」


「その話なら前にしたのですが、覚えてませんか?」


「知らないわよ。どの話よ」


「100階層のボスが地竜になった話ですよ。勝てないので、帰還のスキルで逃げ帰ったと」


「樹森と樹森の部下達が全滅したダンジョンか」


「あ~、確かに帰還のスキルがあれば、ボス部屋に入っても。そうかそうか……」


「もういいだろう。これからは猫族と情報を共有し、スキルや魔法や技やアイテムについて調べていく。更に、にゃんにゃんが501階層より下層で手に入れた新たなアイテムについても調べていく」


「この魔法が付与された剣はこれまで見つかってませんよね」


「それをいうのなら、この魔石も凄いぞ。武具生成の時に一緒に消費すれば、属性効果が付くみたいだぞ」


「……嘘じゃないのね」












これまで日本でトップだったパーティ名、雷神は未だに封印のダンジョンの中に。


2番手だったパーティ名、疾風はリタイアし、地元でレベルアップ中。


3番手だったパーティ名、深淵も封印のダンジョンの中に。



そして、これまで無名だったにも関わらず、封印のダンジョンを突破し、異世界から猫族を救い出した、パーティ名、にゃんにゃんは最強のパーティとして日本中で、いや、世界からも一気に注目されるようになったのだった。









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