幕間7 何も! 何も! 何も!
1人では何も出来ない私。
せめて両親や兄姉が生きていたら……。
魔人が率いて襲撃してきた魔物との戦いで両親も兄姉が死んでしまった。
幼かった私は家の中に隠れていたのだが……破壊されて建物の下敷きに。
命は取り留めたのだが、利き腕の右手と更に両足を失ってしまった。
何も出来なくなった私を近所の人達は12年間も世話してくれた。
何も恩返しすることの出来ない私。
魔人がまた襲撃を。
私も一緒に戦いたいが、何も出来ない私。
ユラおばさんは魔物との戦いで失った左手の付け根を押さえながらが言った。
もう、ダメかも知れない。
魔人が20人も攻めて来たらしい。
猫族最強の5人の戦士の内の2人があっさり殺られてしまったと不安そうな表情で言っていた。
何も出来ない私は祈るしか出来ない。
一緒に戦いたいのに
皆殺されてしまうかもって頭に過ぎっていたのだが、ユラおばさんが笑顔で家に入って来た。
ノルン様が戻って来たのだと。英雄になって、英雄を連れて。
ユラおばさんは物凄く興奮していた。
正直、何が起こったのか興奮しているユラおばさんの説明ではよく分からなかった。
私はユラおばさんに抱えられ、外に。
私は驚いた。
最近では誰もが不安そうな表情をしていたのに……。
誰もが希望に満ちた表情でノルン様に跪いていたのだ。
ユラおばさんは力強く言う。ノルン様と一緒に戦い抜くと。ユラおばさんだけではなく、誰もが力強く言っている。
私も……って言いたい。
でも私には何も出来ない。
そんな私にノルン様が頭を下げて言ってくれた。
「にゃ。サラ……ノルンに力を貸して欲しいにゃ」
私は意味が分からなかった。でも何かのチャンスだということは理解出来た。こんな私でも。私は小さくコクリと頷いた。
「ノルン様。こんな私で良ければ、何でもさせてください」
ノルン様が何も出来ない私に貴重なアイテムを大量に使わせてくれた。
「頑張ったね、サラ」
英雄様がなぜか笑顔で褒めてくれた。
「偉いにゃ」
ノルン様まで。
「ふふふっ。新しい仲間だね」
え? 仲間? 意味が……。
「貴重なアイテムを私何かのために……すみません」
私は何だか申し訳なくて謝ることしか出来ない。
「サラにはレベル1という凄い才能とスキルなしという凄い才能があるんだから、謝る必要はないんだよ」
私を褒めてくれる英雄様……。
「私に才能? 1人で何も出来ない私に?」
私は困惑するしかなかった。
……こんな私でも戦えるのだろうか。
いや、戦いたい。
戦える力が欲しい
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