20話 ピンチ! ピンチ! ピンチ!







「ねえ、あつし?」


「帰還に失敗?」


見たことのない平原。困惑する僕とユウ。ノルンは? 僕達よりも困惑していた。


そのノルンが言う。


「にゃ? にゃ? 帰って来たにゃ?」


「ノルン?」


「ノルンちゃん?」


「こっちにゃ~」


ノルン? 帰って来た?


突然走り出したノルン。仕方ないので、僕とユウはすぐにノルンを追いかけた。









「ユウ、あれ」


「壁? 何かの建物かな? あっ、あつし、門があるよ」


「ノルン達の城にゃ」


「ノルンの?」


「え? ノルンちゃん、それって……。ここは……」


「そうにゃ。ノルン達の世界にゃ」


「え? 異世界?」


「にゃ? 燃えてるにゃ。急ぐにゃ~」


外壁の中から煙が見える。何かあったのだろうか。


異世界……。どうして僕達が異世界に?


意味が分からないが、今はノルンを追わなければ。








門は閉まっているのだが、外壁の一部が破壊されていて、人が中に入ることが出来そうだ。ノルンも気づいてるようで、そこを目指している。







ノルンが外壁の中へ。


僕とユウも続く。





外壁の中には猫族が沢山。何かと戦っていた。


「魔人にゃ~」


ノルンは走りながら剣を抜いた。


「あつし、助けに入るわよ」


「ちょっと、ユウ」


ユウも苦戦している猫族を助けに向かった。


僕は探索を使用する。


魔人の数は20人。猫族の数は1605人……1602人。魔人に殺られていく猫族。


ノルンがリーダーらしき魔人に向かって行くが……。


「ノルン、逃げろ~。そいつは強い」


ノルン

レベル415

HP 7856/10336(+200) 

MP 2878/2884(+200)   

力   4180  

耐久力 868

抵抗力 868

素早さ 2624(+100)

知力  868

器用さ 1696

運   1696

SSS級の剣

SSS級の鎧

SSS級の盾

S級の罠無効の指輪

S級の成長率上昇の指輪

S級のHPの指輪

S級のMPの指輪

S級の素早さの指輪

剣士の指輪



バエル

種族:魔人

レベル1003

HP18322/18528

MP 7219/7309

力    4206

耐久力  3031

抵抗力  3024

素早さ  4222

知力   3655

器用さ  3291

運    3827

SSS級の剣

SSS級の鎧

SSS級の盾



「負けないにゃ~。強化にゃ~」


ノルンのステータス値が1.2倍に。それでもリーダーらしき魔人のステータス値には全然足りてない。


「死ね。神速剣」


「ノルンは無敵にゃ~」


魔人バエルとノルンが激突。


ノルンとすれ違った魔人バエルは無傷……だが、ノルンは身体から血が溢れ、ふらりと倒れそうになるがなんとか踏み止まるノルン。


僕はノルンを助けようと走ったのだが。


「お前の相手は俺だ」


僕の前に立ちふさがる魔人。


「どけ~~~」


僕は魔人に向かって剣を振る。……が空を斬る。そして魔人の剣が僕に。


「剛剣、天落斬り」


「ううっ。化け物め」


魔人の1撃で僕のHPが2000も減ってしまう。


戦えば敗北しかないだろう。






ノルンと僕だけでなく、ユウも魔人には歯が立っていない。


「ノルン、ユウ、撤退するぞ」


猫族を見捨てることになるが、僕達がここにいても役に立たないだろう。


「嫌にゃ~。ノルンは無敵にゃ~」


「無理だ、ノルン。撤退だ」


ノルンを無理やりでも連れて逃げたいのだが、魔人が邪魔して、ノルンに近づけない。


「ノルン様を守れ。ノルン様、お逃げください。奴は四天王の1人、バエルです」


猫族がノルンを守ろうとするが、誰も魔人バエルには手も足も出ない。


次々にやられていく猫族。


「ノルンは逃げないにゃ~。ノルンは強いにゃ~。無敵にゃ~? にゃ? にゃ? 限界突破にゃ~~~」


魔人バエルに手も足も出なかったノルンの速度が一気に上がり、魔人バエルにノルンの攻撃が当たる?


限界突破? ノルンの新スキルか?


ノルンを鑑定してみると、HPとMP以外のステータス値が2倍になっていた。


凄い。これなら戦える。


僕は叫ぶ。


「ユウ、反撃だ」


「ふふふっ。そうね、本気を出すわよ」


僕とユウは新たなる力を求めて叫ぶ。


「「 限界突破 」」


魔人バエルと互角に戦えるようになったノルンだが、1対1ではない。2人の魔人がバエルとノルンの戦いに参戦する。猫族達がその戦いに参戦しようとするが他の魔人が邪魔をしてしまう。


すぐにノルンの掩護に向かいたい僕とユウだが……スキルの取得に失敗していた。


「くそ~。無敵の力を。最強の力を。限界突破~~~」


ノルンが新スキルを覚えた状況を思い出しながら叫んだのだが、取得することが出来ない。


「あつし、私はダメだったよ」


「僕も。何か条件が?」


「そうよ、それよ」


僕とユウは同じ結論を出した。


「「 僕(私)に力を。強化 」」


新スキルを獲得した僕とユウのステータス値は1.2倍に。


そして更に叫ぶ。


「「 さらなる力を。限界突破 」」


僕とユウのステータス値が一気に跳ね上がった。


よし。


「ユウ、ノルンの援護を」


ユウのアイテムボックスの中には沢山の中級ポーションが入っている。ユウに任せればノルンは大丈夫。


僕は走った。魔人20人の中で1番弱い魔人の元に。


猫族に斬りかかろうとしていた魔人を僕は背後から攻撃。1撃で首を飛ばす。


次はアイツか。


猫族を蹂躪している魔人。勝ち誇ってる魔人の背後から僕は攻撃を。


よし、次はアイツだ。


僕は休まずに走る。限界突破にはタイムリミットがある。1秒につき、HPとMPが5づつ減っているのだ。HPにはまだ余裕があるが、このままではMPが10分もしない内に尽きてしまうだろう。


僕の動きを理解した猫族が玉砕覚悟で魔人に立ち向かい、隙きを作ってくれる。


そんな猫族の思いを受け取り、僕は魔人を1撃で仕留めていく。


「お前ら、男剣士から狙われてるぞ。散れ」


バエルも僕の行動に気づき、叫んだ。


魔人は残り16人。僕の近くにいた魔人3人が僕から距離を取る。


よし、チャンス。


僕はユウが戦っている魔人に接近する。


「来たぞ」


僕を警戒していた魔人の叫び声で接近がバレてしまう。が僕に気を取られた魔人の首をユウが跳ねた。


残り15人。

ノルンと対峙している3人の魔人。

そこに助けに入ろうとする猫族を足止めする5人の魔人。

僕から距離を取った3人の魔人。

そしてユウを狙っている4人の魔人。


僕が狙うのはユウを狙っている魔人。僕を警戒すればユウが。ユウを警戒すれば僕が。更に猫族が玉砕覚悟で掩護してくれる。


魔人の首を飛ばした僕。


魔人の首を飛ばしたユウ。


ユウを狙っていた残り2人の魔人は逃げるように僕達から距離を取る。


「ユウ、チャンスだ」


「行くわよ~~」


僕とユウはノルンに攻撃しようとしていた魔人に接近。


僕は、ユウは、魔人の首を飛ばす。


「いきなり強くなりやがって。全員で男剣士を殺せ」


魔人バエルが叫ぶが、生き残ったバエル以外の魔人は10人。

僕とユウから距離を取った5人の魔人。

猫族の足止めをしている5人の魔人。


すぐに僕とユウに接近出来る魔人はいない。


「ノルンちゃん、倒すわよ」


「行くぞ、ノルン」


「殺るにゃ~」


「ちっ。貴様ら~」


バエル対ノルン、あつし、ユウ。1対3の大チャンス。


ノルンの剣がバエルに。


ユウの剣がバエルに。


僕の剣がバエルに。


一気に決める。


僕達が追撃しようとした時、バエルが叫ぶ。


「神速剣」


バエルは誰もいない方向へ技を繰り出した?


「神速剣」


バエルは技を連続使用し、僕達から距離を。バエルは攻撃ではなく、逃げるためだけに技を発動させたのだ。


「逃さないにゃ~」


「逃さないわよ~」


「ノルン、ユウ。アイツに追い付くのは無理だ。残りの魔人を倒すぞ」


「にゃ。仕方ないにゃ」


「分かったわ」


僕達は猫族を足止めしていた5人の魔人に狙いを絞り倒す。


が。


「逃げられたにゃ」


「全滅させたかったのに」


バエルと5人の魔人に逃げられてしまった。






僕達は限界突破を解除し、倒れるようにその場に座り込む。


「あの魔人は強かったね」


「ノルンの方が強いにゃ」


全身傷だらけのノルンは力強く言う。


「ふふふっ。私達の勝利よ」


ユウはそう言うと僕とノルンに中級ポーションを渡してくれた。でもそのポーションを使う前に。


「ノルン様達の手当を」


猫族が僕達に回復魔法をかけてくれた。







「お帰りなさいませ、ノルン様」


「ただいまにゃ。英雄を連れて来たにゃ。あつしとユウちゃんにゃ」


「我らを救って頂き、ありがとうございます。英雄あつし様、英雄ユウ様。そして英雄ノルン様」


「にゃ? ノルンは英雄じゃないにゃ」


「ふふふっ。ノルンちゃんも英雄だよね」


「だね。それは助けられた猫族の人達がよく分かってるよ」


「にゃ?」


僕とユウとノルンの前に跪く猫族達。魔人に500人以上が殺され、1508人になってしまったが、僕達が来なければ全滅していただろう。




あつし、ユウ、ノルンの活躍により救われた1508人の猫族は僕達を英雄と称え、魔王軍と戦う仲間となった。















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