18話 走れ! 走れ! 走れ!








「ふふふっ。似合うわよ、あつし」


「ノルンと一緒にゃ~」


「う~、恥ずかしいんだけど~」


「ふふふっ。ほら、あの人も猫耳してるじゃない」


「あっ。ほんとだ。男が猫耳なんて誰得なんだろうね」


あの上杉って男、猫耳してのりのりだね~。仲間と思われないように近づかないようにしないとな~。







封印のダンジョンだと聞いていたので、特別なダンジョンだと思っていたのだが、変わらない入口。


「普通ぽいね」


「特別感ないよね」


全国から集まったパーティが次々とダンジョンに入っていく。


「最後は……チーム……にゃんにゃん様。どうぞ」


ん? にゃんにゃん?


「あつし。呼ばれたわよ」


「行くにゃ~」


「え? 僕達のパーティ名だったの?」


「ふふふっ。可愛いでしょ」


「ユウちゃんと一緒に考えたにゃ」


笑ってるユウと褒めてほしそうなノルン。僕は苦笑いするしかなかったよ。












「突撃にゃ~~」


「ふふふっ。突撃~~」


「はいはい。突撃~」


僕達は走って進むことにした。理由は単純に他のパーティと関わりたくないからだ。














1時間ほどで2階層への階段に辿り着いた僕達。


「この玉を階段に置いとけばいいのね」


「ノルン達が一番にゃ」


どのパーティがいつ辿り着いたのかが分かる魔玉をユウが階段に置いた。


「どんどん行くよ。ユウ、ノルン、疲れたら言ってね」


「突撃にゃ~」


「ふふふっ。レベルが上がってるせいか全然疲れないよね」




























「にゃ? ノルンはまだ疲れてないにゃ」


「ダメダメ。休める時に休んとかないと」


「そうよね。今日は10時間も頑張ったんだからね」


「分かったにゃ」


「まあ、初日から僕達みたいに頑張ったパーティはいないだろうから、明日はもっとのんびり進んでもいいかもね」


「あつし~、全然疲れてないんだから、明日はもっと速いペースでもいいでしょ。どれくらいで疲れるのかも知ってないと、ピンチになった時に困るんだからね」


「それもそうだね。分かったよ、明日はちょっと疲れるくらいに速度を上げてみるよ」


僕達は11階層に下りる階段で休むことにした。























2日目。かなりペースを上げて走ったのだが。


「もう少しペースを上げてもよかったわね」


「ノルンは全然疲れてないにゃ」


8時間で21階層まで辿り着いたのだが。




















3日目。疲れることを目標にかなりかなりペースを上げた。5時間で31階層までたどり着いてしまったので、更に5時間走って41階層へ。


「疲れなかったわね」


「疲れてないにゃ」


「HPが減らないぎりぎりのペースで走ったんだけど……」


「あつし、減ると疲れるんじゃないの?」


「そうなのかな? ノルンは知ってる?」


「知らないにゃ」


「う~ん。まあ、このペースが限界ギリギリってことでいいよね」


「じゃあ、他の人達も同じくらいのペースで来るってことよね」


「まあ、そうだろうね」


「負けないにゃ」


「ふふふっ、そうね。どうせなら1位になりましょ」


決められた階層に1番にたどり着けば賞金が貰えることになっている。


100階層 1千万円


150階層 1億円


200階層 3億円


300階層 10億円


更に321階層よりも下層に進めた者には1番の賞金以外に階層✕1千万円が支給されるそうだ。321階層の理由は雷神が320階層まで到達していて、その記録が日本では最高到達階層なのだそうだ。









4日目 61階層





5日目 81階層





6日目 101階層





7日目 121階層





8日目 141階層





9日目 161階層





10日目 181階層





11日目 201階層





12日目 221階層





13日目 241階層





14日目 261階層





15日目 281階層





16日目 300階層


「ユウ、まだ装備してないだろ」


「ノルンも剣が欲しいにゃ」


「大丈夫よ。まだまだ楽勝なんだから」


ボス部屋に入ったユウは3m以上ある牛の魔物に向かって走っていく。そして牛の魔物に向かってジャンプ。


「ズルイにゃ~」


牛の魔物はここまでに遭遇したボスと同じく、ユウの大剣で真っ二つに。


「ユウ。せめて防具だけでも装備して戦ってよ」


「攻撃なんてされないんだから意味ないでしょ」


「ノルンも戦いたいにゃ」


「全力で走って進んでるんだから、仕方ないでしょ」


「まあ、そうだけど。よし、賞金が貰えるのはここまでだから、他のパーティとの競争は終わりにして、明日からはゆっくり進もうか」


「そうね。走りながら話すのも楽しかったけどね」


「ノルンも戦っていいにゃ?」


「そうだね。ユウ、僕とノルンの武具を」



僕達はのんびり進むことにしたので1日に5階層のペースとなった。









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る