幕間3 罠? 煽り? 自爆?
「まさか樹森が裏切っていたとはな」
「次々に手柄を上げた古谷さんに嫉妬していたのでは?」
「樹森なら嫉妬心につけ込まれた可能性はあるな」
「後は女だね。樹森さんは女癖悪かったからね」
「もうよい。樹森が金で雇っていた冒険者達も全滅したのだからな」
「ふふふっ。古谷さんは恐ろしいことしますね」
「私ではありませんよ。それに私はちゃんと報告し、誤って入ってしまわないように何箇所も看板を立てていましたからね」
「それだよ、それ。古谷の周りを調べてたなら、そんな怪しい看板を無視するだろうよ」
「ふふふっ。古谷さんが看板設置で煽ったような感じよね~。で? 本当に100階層のボスがドラゴンになってるの?」
「あつしくん達が私に嘘を付く理由はありませんよ。まあ、確かめようがありませんけどね」
「樹森の話はもうよい。封印のダンジョンについての情報を頼む」
「それなら俺から1つ。イラクに天まで届く塔が現れたそうですよ。塔の名前はバベルの塔だとか。異世界人にも封印が解けず、入ることが出来ないようですね」
「イラク? あそこには既に封印のダンジョンが発見されていたはずだが? それに下ではなく、上に続いているとなると、別物だと考えていいのでは?」
「ふふふっ。ダンジョンでなくても、絶対に関係してますよね」
「私からも1つ。クトフ様に聞いた話なのですが、過去にこの世界から異世界に召喚された者達のレベルは500以上だったそうですよ」
「なるほど。レベルが500以上ないと転移出来ぬのか、あるいは……ダンジョン500階層よりも下層にたどり着く必要があるのか」
「レベル500ですか……。厳しいですね」
「現在の最高レベルは?」
「上杉さんのレベル351だったかしら」
「まあ、それくらいだよね」
「やはりアイテムボックスが必須になって来ましたね」
「帰還のスキルが手に入れば帰りの時間を短縮出来るのですが……」
「まだ条件が分からぬか。古谷、何か分からぬか?」
「分かりませんが、私の予想では3つ分のスキルだということ。これだけでは条件を満たせませんでしたので、アイテムボックスのスキルがあることが必須だと考えています。今はまだ検証中ですね」
「アイテムボックスに3つ分の空きがなければならないのか……。厳しいな」
「封印のダンジョン開放の準備は進んでおるのか? 海外では数ヶ月も前から封印を解き、攻略を始めておるようだが?」
「それに関して私からも1つ。封印のダンジョンとは過去に攻略されたダンジョンのようです。なので宝箱は全て空。ひたすら進むだけで、調査以外ではメリットのないダンジョンのようですね。まあ、下層まで進めば宝箱の中身が残っているかもしれませんがね」
「封印のダンジョンだけに専念すれば、他のダンジョン下層にある宝回収が遅れることになりかねませんね」
「そうだな。アイテムボックス持ちのメンバーがいるパーティを、それぞれ2パーティ。計20パーティでいいだろう」
「古谷さんはどうするの? 検証中で出せるパーティがないんじゃ?」
「大丈夫ですよ。優秀なパーティが1つありますので」
「へえー。優秀ね。謙遜な古谷さんが優秀ってことは凄そうですね」
「ほー。それは面白そうだな。うちの雷神と競わせるのはどうだ?」
「上杉さん率いるパーティ雷神に勝てるパーティなんてないでしょ。ねえ、古谷さん」
「ははは。楽しみですね」
「へえー。否定しないんだ~」
日本でトップクラスの20のパーティが出雲町に集結する。
数ヶ月後、有名なパーティを差し置いて、無名だったパーティが日本中にその名を轟かせるようになるのだった。
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