17話 レベル上げ! 瞬殺! 脱出!
「あつし、もう終わりでいいでしょ」
「もうちょっとだけ」
「ノルンも疲れたにゃ~」
「よし、上がったよ」
「あっ、私も」
「ノルンもにゃ」
レベル265
HP6712/6736(+200)
MP1978/1984(+200)
力 2680
耐久力 568
抵抗力 568
素早さ 1624
知力 568
器用さ 1096
運 1096
SSS級の剣
SSS級の鎧
SSS級の盾
S級の罠無効の指輪
S級の成長率上昇の指輪
S級のHPの指輪
S級のMPの指輪
剣士の指輪
300階層に出現する3メートルもあるが動きが遅い巨大な亀の魔物、黒魔亀でレベル上げを5日間もした僕達のレベルはかなり上がった。階層=レベルで考えるとまだまだなのだが、ユウもノルンも手応えのない戦いに飽き飽きしてしまったみたいだ。
「ボスを倒すにゃ~」
「あつし、いいでしょ」
「もう少し上げた方が安全だと思うけど……」
「いやにゃ」
「私も嫌かな。飽きたよ~」
「ボス部屋に入ると倒すまで出られないんだよ」
「私のスキルがあるから大丈夫よ」
「……そうだけど」
「突撃にゃ~」
「こら、ノルン」
ボス部屋の方へと走り出したノルン。
「ふふふっ。突撃~~~」
「あ~、ユウまで~」
僕は慌ててノルンとユウを追ってボス部屋へと走った。
「ノルンの勝利にゃ~~~」
「さすがノルンちゃん」
「ユウちゃんのおかげにゃん」
「ノルン……。ユウ……」
僕がボス部屋に入った時には戦いは終わっていた。30秒も遅れてないのに。ノルンの前に横たわっている2m以上あるトカゲの魔物……首が斬り落とされている。
「宝箱はあつしが開けていいにゃ」
「よかったね、あつし。出番があって」
「はあ~。まあ、いいけどね……」
宝箱と倒した魔物を回収した僕達は301階層へ。
「じゃ、魔物の強さを確認してから戻ろうか」
「ノルンは満足にゃ」
「そうね。あつし、ノルンちゃん、私と手を繋いで」
ノルンはすぐにジャンプしてユウに抱きついた。
「ちょっと、ユウ」
「ふふふっ」
僕は慌ててユウの手を握る。置いて行かれないと思うけど……帰還が間違って発動してしまえば自力で戻るのは面倒だし、食料や武具やアイテム等は全てユウのアイテムボックスの中だからね。
3ヶ月と13日ぶりに地上に戻った僕達が潜伏先に戻ると。
「あれ? お巡りさん?」
「お久しぶりですね。潜伏生活は終わりにしていいですよ」
「それじゃあ、問題解決ってことですか?」
「はい。裏切り者達は全滅です」
「え? 粛清したってことですか?」
「いえいえ。あつしくん達の罠にハマったようです」
「え? 罠? 僕は何もしてませんよ? ユウ?」
「私は知らないわよ。ノルンちゃん?」
「ノルンは知らないにゃ」
「ははは。それより、ノルン。どうしますか? 私の家に」
「あつしと一緒にゃ。ユウちゃんも一緒にゃん」
「そうですか。あつしくん、ユウさん、ノルンをよろしくお願いします」
お巡りさんはノルンに微笑み、僕とユウに頭を下げた。
「もちろんよ。私達は親友なのよね~」
「そうにゃ。ユウちゃんは親友にゃ」
「ノルンは僕が、僕達が守り抜きますよ」
「よかったな、ノルン」
「はいにゃ。今まで、ありがとうにゃ」
「ノルン、猫族ということを隠して生きるのか、それとも正体を明かすのか」
「ノルンは猫族にゃ」
「そうですか。あつしくん、ユウさん、お願いがあります。ノルンの、あつしくん、ユウさんのレベルも100に上げて下さい。そして今はまだ封印されているダンジョン攻略に参加してください」
「ノルンのレベルは265にゃ。強いにゃ」
「え?」
「ふふふっ。私もよ」
「え?」
「もちろん僕も」
「え? たった3ヶ月間で?」
「そうにゃ。頑張ったにゃ」
「どうやったらこんな短期間で……。なら……封印のダンジョン攻略の第1陣に参加出来るのか……」
「封印のダンジョンって?」
「日本には太古の時代からダンジョンがあったのです」
「ヘェ~。そうなんだ~」
「太古の時代? どこに?」
「出雲町に黄泉の国への入口と言われる場所があるのは知ってますか?」
「初耳ですね。ユウは?」
「私も初耳ね」
「ノルンも知らないにゃ」
「1週間後に猫族の王であるクトフ様に封印を解いて頂き、レベル100以上の冒険者達に開放します」
「ん? 封印は猫族にしか解けないってことですか?」
「いえ、異世界人になら誰でもいいようですね」
「異世界人なら?」
「ねえ、そのダンジョンには何かあるの?」
「異世界と繋がっているという伝承がありますが……真実なのかは分かっていません」
「にゃ? バビロニアじゃないにゃ?」
「そうですね。バビロニアにも異世界と繋がっているダンジョンがあるらしいですが、日本人がそのダンジョンに入る許可が出ないのですよ」
「え~と……地球には異世界と繋がっているダンジョンが昔から何箇所もあったってことですか?」
「真実なのかは分かりませんが、どうやらそうらしいのです。まだ噂の段階ですが、世界中に200箇所以上もあるらしいですよ」
「ヘェ~、その1つが日本にあったのか」
「どうですか? 参加して頂けますか?」
「ユウ、どうする?」
「他の人達も同じダンジョンに入るなら、ノルンちゃんの正体がバレるわよね?」
「ノルンは猫族として生きることを選びました。なので、他の猫族4人も封印のダンジョンに参加して頂き、ノルンは5人目の猫族として発表させて頂きます。ノルン以外の4人は獣人なので、注目されるでしょうが、人の見た目とほとんど変わらない亜人のノルンはそこまで話題にはならないでしょう」
「う~ん。ノルンは可愛いから、絶対に話題になるよね」
「そうよね~。本物の猫耳だからね~」
「そうだ。ユウも猫耳にすれば。カチューシャの猫耳をダンジョン入口近くで販売して貰えば、ノルンの猫耳も偽の猫耳だと思われるかも」
「ふふふっ。じゃあ、あつしもね」
「え? 僕はちょっと」
「にゃ? あつしは猫耳嫌にゃ?」
「ふふふっ。どうなの、あつし?」
「嫌じゃないよ。……まあ、仕方ないか」
「ふふふっ。ってことで、お巡りさん、よろしくね」
「なるほどですね。ノルンの猫耳とそっくりな猫耳カチューシャを販売しましょう。部下や同僚達にも付けて貰うようにお願いしてみますね」
密かに日本政府に保護されていた4人の猫族が世間に発表された。
本物の猫族を、異世界人を見ようと出雲町はお祭り騒ぎに。
そして大量に用意された猫耳カチューシャは完売した。
これによりノルンへの注目が減るのだと思われたのだが、あつし、ユウ、ノルンのチートな快進撃により、3人は日本中に注目されることになる。
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