15話 暇つぶし? レベル上げ! 無双!
「で? 何する?」
「う~ん。周りには何もなさそうだよね」
「あつし~、出歩くのはダメでしょ」
「ダンジョンにゃ。ダンジョンに行きたいにゃ~」
「ダンジョン? あつし、どう思う?」
「う~ん。暇だから、いいかもね。ダンジョンの中にいた方がバレずに済むしね」
「まあ、そうだけどね」
「やったにゃ~。ダンジョンにゃ~」
「ノルンちゃんはどうしてダンジョンに入りたいの?」
「強くなりたいにゃ。強くなって皆を救うにゃ」
「「 救う? 」」
ノルンちゃんは話してくれた。ノルンちゃんの住んでいた世界が他の世界から来た魔王によって支配されたのだと。生き残った各種族は世界を救ってくれる英雄を異世界から連れてくるために、ダンジョンを利用して強い戦士を5人づつ、この地球に送り込んだのだそうだ。そのノルンちゃんの話に僕とユウは疑問を。ノルンちゃんは強そうに見えないっていうか……レベル1だし。ノルンちゃんは申し訳なさそうに話してくれた。本当の父親である猫族の王は戦士ではなく、自らとその家族をこの地球に送り込んだのだと。それが、ノルンちゃんと4人の猫族なのだと。
って、ノルンちゃんはお姫様なんだね。
僕達が潜伏している保養施設から、歩いて10分程の場所にダンジョンがあった。お巡りさんの父親の話では、このダンジョンは多くの警察官が攻略していて、200階層まで中身の入った宝箱が残ってないそうだ。今では山の中にあり、都会からも離れた不便なこのダンジョンを利用する人はいないのだそうだ。
僕達の目的は潜伏とノルンちゃんのレベル上げなので、宝がなくても……気にならない。少し残念だけどね。
「おっ。この先にスライムが3匹いるよ。僕達はゆっくり歩いていくから、ノルンちゃん、頑張ってね」
「ノルンちゃん。スライムなんて余裕だから、緊張しなくていいわよ」
「一緒じゃないにゃ?」
「あ~、僕達と一緒だとレベルが上がりにくいんだよ」
魔物を倒すと経験値というエネルギーを放出するのだが、レベルが高い人の身体程、多く取り込まれるのだ。
まあ、計算式は自分のレベルを仲間全員のレベルの合計値で割った数字が入手出来る経験値の割合となるそうだ。
ノルンちゃんは走って魔物がいる方へと進んでいく。僕とユウはノルンちゃんが倒した魔物の経験値を奪ってしまわないように距離を開け、ついていく。
もちろん僕は探索のスキルで、ノルンちゃんと魔物の戦いを確認しているよ。
魔物の反応だけが消えたので、僕とユウはノルンちゃんと合流する。
「ノルンちゃん。初めての戦闘はどうだった? やっぱり、緊張した?」
ユウの問にノルンちゃんは剣を掲げて勝利のポーズを。
「楽勝にゃ~」
笑顔のノルンちゃん。
「よし、なら今度は向こうだね」
僕は次の階層に下りる階段の方にいる魔物の位置をノルンちゃんに教えた。さっさと下りて下層の魔物を倒した方が経験が多いからね。かと言って戦闘経験0では何が起こるのか分からないので、最低限の戦闘だけさせて進むことにした。
「楽勝にゃ~」
31階層の魔物にも無双状態のノルンちゃん。
「ふふふっ、さすがノルンちゃん」
「カッコいいよ、ノルンちゃん」
「ノルンは無敵にゃ~」
僕とユウが初めてダンジョンに入った時と同じようにノルンちゃんは1度も苦戦することなく、ここまで進むことが出来た。まあ、今回はノルンちゃん1人で戦っているので、しっかりレベル上げをさせているんだけどね。
「次はボス部屋にゃ~」
ノルンちゃんは1人でボス部屋の中へ。
「あつし、大丈夫なの?」
「心配いらないよ。そのためにレベル上げしながら進んでるんだからね」
50階層のボスは少し強かったと覚えていたユウがノルンちゃんを心配しているが、あの時の僕とユウのレベルは20。ノルンちゃんのレベルは35。更にA級の武具ではなくSSS級の武具を装備しているのだ。負けるはずが、苦戦するはずがないよね。
あつしはそのように考えてたのだが、本来なら魔物の強さは階層=レベル。レベル50以上の者達が3~5人で戦う必要があるのだ。ましてや、ボスなのだから、さらなる強さが求められることになる。
……はずなのだが。
「ノルンちゃん以外の反応が消えたよ」
「ヘェ~。もう倒しちゃったんだ」
僕とユウがボス部屋の中に入ると無傷で笑顔のノルンちゃんが立っていた。
「楽勝にゃ~」
あつしは知らなかった。あつし、ユウ、ノルンが装備しているS級の罠無効の指輪とS級の成長率上昇の指輪は猫族の王がこの世界に持ち込んだ秘宝中の秘宝であることを。罠を気にせず戦えるあつし、ユウ、ノルン。レベルアップ時のステータス上昇値が2倍になっているあつし、ユウ、ノルン。
あつし、ユウ、ノルンは魔物を無双しながらダンジョンを進んで行く。
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