14話 猫耳! 異世界人! にゃ!
「あつし? 何か言いたいの?」
「え? その……。お巡りさん?」
「あ~、分かってしまいましたか。このことは絶対に秘密にしてくださいね」
「お巡りさん? あつし?」
「秘密って言われても、隠し通せる気がしませんが」
「あつし? 何を言ってるの?」
ユウには悪いが、今はユウの疑問をスルーして話を進めることにした。
「それなら大丈夫ですよ。隠れ家を用意するのでね」
「ずっと隠れて生活しろってこと?」
「まさか。あつしくんとユウさんから買取した魔鋼石10万キロ分のコインは上司に渡しましたが、まだ20万キロ分は私の元にあります。これをこれから1万キロづつ上司に渡すつもりです。そうすれば私の周りを嗅ぎ回ってる者達には私に接触していないあつしくんとユウさん以外から買い取っていると思われるでしょう」
「あ~、ってことは嗅ぎ回ってるのは警察官や自衛官の可能性が高いってことですね」
「それは分かりませんが、資金は他国から出ているでしょうけどね」
「これだけは教えてください。彼女は異世界人ですよね」
「はい。異世界から日本に逃げ延びた猫族の5人の内の1人です」
「5人? 他にもいるってことですか」
「はい。政府は4人のことを把握してます」
「ってことは……お巡りさんが彼女のことを隠してるってことですか」
「はい。他の4人の猫族の人達と約束しましたからね」
「もしかして海外でも異世界人が見つかってたり?」
「はい。見つかってますよ。たった1人の異世界に軍が敗北したとの情報がありますね」
「え? 1人に?」
「他に知りたいことはありませんか?」
「え~っと……」
僕が何を聞いたらいいのかのか考えながらユウとノルンを見ると、2人は黙って僕達の話を真剣に聞いていた。
「あつしくん、ユウさん。彼女を頼みますね」
僕とユウとノルンはユウの母親の車で隠れ家に向かった。
「私はユウ」
「ノルンにゃ」
おっ、にゃんにゃん言葉なんだ。
「僕はあつし。よろしくね、ノルンちゃん」
「ノルンちゃんは日本語が上手だけど異世界人なんでしょ」
「そうにゃ。パパに習ったにゃ」
ノルンはそう言うと被っていた帽子を脱いだ。
「「 獣耳~ 」」
僕とユウは思わず大声を出してしまった。ノルンの頭には猫耳があったのだ。
「変にゃ?」
「うんん。凄く可愛い。ねえ、あつし」
「うん。最強で無敵だね」
「にゃ?」
「ノルンちゃん、猫族の亜人は全員にゃんにゃん言葉を使うの?」
「あ~、男性が使ってたら、引くよね~」
「にゃ? 使わないにゃ。パパが教えてくれた日本語にゃ」
「「 え? パパって、お巡りさんだよね? 」」
「そうにゃん」
ノルンちゃんがそう言うと、ユウは冷たい目で、ここにいないお巡りさんに呆れている。が、僕は心の中で素晴らしいと、ここにいないお巡りさんを褒めた。
僕達の隠れ家は車で30分程で辿り着いた山の中にあった。
「ここは警察官の保養施設みたいよ」
ユウの母親が大きな建物の前に車を止めてから、そう言った。
「おばあちゃんとおじいちゃんが住んでるにゃ」
ノルンちゃんは車を降りながら、そう言った。
「ん? お巡りさんの両親?」
「そうにゃん。料理が美味しいにゃ~~~」
ノルンちゃんは両手の手のひらで頬を挟み、幸せそうな表情に。
「楽しみだね」
「うん。楽しみ」
「あつしくん。ユウとノルンちゃんを頼みますね」
「任せてください。何があってもユウを守りますから」
「にゃ? ノルンは守ってくれないにゃ?」
「ふふふっ。あつしくん、ノルンちゃんも守るのよ」
「はい。もちろん、ノルンちゃんも守りますよ」
「ふふふっ。あつしなら私もノルンちゃんも、ちゃんと守ってくれるよ」
「そうにゃん?」
「ははは。期待に応えます」
「ふふふっ。じゃあ、ユウ、あつしくん、ノルンちゃん、またね」
「送ってくれて、ありがとうございました」
「ママ、ありがとう~」
「ありがとにゃ~」
僕達の潜伏生活が始まった?
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