第12話 C級! B級! SSS級!
「成功したようね」
「失敗だったら、死んでたけどね」
「ごめんね、あつし」
「結果が全てだよ。まあ、次からは慎重に行動してもらうけどね。それよりも今はね」
僕達は入口の階段前に帰還していた。ユウは走り出した。僕もその後を追う。
洞窟の外に出たユウはすぐにスマホで母親と話を始める。
「ママ。 うん。 うん。 よかった。 うん。 うん。 私なら大丈夫、あつしがいるから。 うん。 うん。 すぐに帰るよ。 え? お巡りさん?」
よかった。大丈夫そうだね。
ユウの表情や声でユウの母親が完治したのだと分かる。最後のお巡りさんはちょっと気になるけれど。
「あつし」
ユウはスマホをしまうと、僕に抱きついてきた。
「よかったね、ユウ。完治したんだろ」
僕もユウをギュッと抱きしめた。
「うん。あつし、ありがとう」
「やっぱり、お巡りさんが?」
「それは何も言ってなかったけど、きっとね。あっ、お巡りさんが連絡して欲しいって」
「まあ、そうだろうね」
「お礼を言わないとね」
僕とユウは僕の兄の運転する車でユウの家に向かった。
ユウの母親は元気で、僕の好物の唐揚げを作ってくれていた。
「泊まってかないの?」
「今日はお母さんと一緒に寝たらいいよ」
「も~、この歳でママと一緒に寝たりしないから」
「ふふふっ。たまにはユウと一緒に寝るのもいいわね。あつしくんも一緒にどう?」
「ママ~。変なこと言わないでよ」
「ふふふっ」
「ユウ、また明日ね」
「あつし、本当にありがとう」
ん? 温かい?
目を開けると、目の前にユウがいた。
僕は重なっていた唇の温もりだけではもの足りず、ユウをギュッと抱きしめた。
「あつし、おはよう」
「おはよう、ユウ」
「今日はどうするの?」
「う~ん、とりあえず、このままで」
「ふふふっ」
風呂から上がった僕とユウは僕の部屋の横のダンジョンに向かった。
「ヘェ~、ハズレだと思ってた、この石がSSS級だったなんてね」
「それを増やして、お兄ちゃんに武具を作ってもらう予定だよ」
「え? SSS級にしちゃったら魔物も強くなるんでしょ?」
「それなら大丈夫だよ。お兄ちゃんから、いい方法を教えて貰ったから。まあ~、チャンスは1度しかないんだけどね」
「一度?」
僕とユウはダンジョンを進んでいく。
入口の魔鋼石の採掘場をC級に変化させていたので、遭遇するのは71階層からの魔物。100階層まで進むことの出来た僕とユウは問題なく倒して進んでいった。
「あっ、宝箱だよ」
「ダメだよ、ユウ」
「え? 開けないの?」
「中身を取ったら補充されないんだからね」
「そっか~。レア度が上がるかも知れないんだね」
「可能性だけどね。僕とユウしか入らないんだから、回収はいつでもいいしね」
「あった。右奥に魔鋼石を採掘出来る場所があるよ」
「8階層か~。採掘しにくるの大変だよね」
「ユウがいれば、帰りは一瞬だけどね。それにユウのアイテムボックスがあれば、一度に大量に採掘して帰れるからね」
「え~とC級の魔鋼石を3段階だからS級の魔鋼石にするのね」
「ハズレ。B級にするんだよ」
「B? どうして?」
「S級にしてしまうと、進めなくなるだろ」
「あっ、魔物も強くなるからか。B級とS級の魔物の強さは?」
「B級が101階層だってよ。S級にすると、どうなるのか分からないけど、A級にすると151階層からの魔物が出てくるみたいだから、S級だと201階層か、301階層か。まあ、僕達じゃ、勝てない魔物が出てくるのは間違いないよ」
「あれ? じゃあ、これ以上上げられないってこと?」
「うんん。B級の魔鋼石の採掘場なら、3段階上げるとSSS級まで上げられるよね」
「でも魔物には勝てないよね?」
「まあ、これは裏ワザになるのかな」
「あつしのお兄さんから聞いた方法?」
「そう。魔鋼石の等級は埋め込んでから時間が経てば変化するけど、自分達のいる階層の魔物は時間が経過しても、増えないんだってさ」
「……どういうこと?」
「次の採掘場の魔鋼石にSSS級の魔鋼石を埋め込んでも、その階層にいる間はB級の魔物のままで、B級の魔鋼石は時間が経過すればSSS級になるってことだよ」
「でも、それだと、次に来た時はSSS級の魔物がいるってことだよね?」
「うん。だから、採掘は一度だけってこと。ユウのアイテムボックスには大量に収納出来るから問題ないよね」
僕の部屋の横のダンジョンの入口の採掘場C級。次の採掘場の8階層はB級に。そして最後の採掘場になる15階層はSSS級にする。
「どうして今更レベル上げを?」
「魔鋼石の等級を上げる前に、この15階層の魔物を狩り尽くした方が安全だからね」
「ん? この階層にいる間は魔物は変化しないのよね?」
「らしいけどね。でも万が一強くなられると危険でしょ。狩り尽くしていれば、その心配はないし、もし強い魔物が生み出されても僕の探索のスキルで分かるからね」
「相変わらず慎重ね」
「SSS級の魔物の強さなんて分からないけど、絶対に勝てないだろうからね」
「まあいいわ。レベルを上げたら、アイテムボックスの容量も増えるからね」
こうして僕とユウは大量のSSS級の魔鋼石を手に入れることが出来たのだった。
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