第9話 進め! 進め! 進め!
「手応えがないわね」
「だね。恐ろしそうなオークも一撃だったし、どんどん進んでも問題なさそうだね」
僕達は僕の兄から借りた地図を見ながら最短ルートで進んでいる。既に11階層に辿り着いたというのに、遭遇した魔物は全て一撃で倒せている。まあ、レベル1でレベル16相当のステータスがあったのだから、当たり前のことなのだが、スライムに負けたことのあるあつしと、その話を聞いていたユウは魔物を過剰に恐れていたのだ。
21階層まで辿り着いたあつしとユウはまた同じことを言う。
「手応えがないわね」
「だね。恐ろしそうなダークウルフも一撃だったし、どんどん進んでも問題なさそうだね」
冒険者のほとんどが21階層のダークウルフに苦戦した経験を持っているのだが、レベル1でレベル16相当のステータスがあったあつしとユウはここにたどり着くまでにレベルが上がっていた。
あつし
レベル11
HP616/640(+200)
MP454/460(+200)
力 140
耐久力 60
抵抗力 60
素早さ 100
知力 60
器用さ 80
運 80
A級の剣
A級の鎧
A級の盾
S級の罠無効の指輪(※レンタル)
S級の成長率上昇の指輪(※レンタル)
S級のHPの指輪(※レンタル)
S級のMPの指輪(※レンタル)
剣士の指輪
あつしとユウのステータスはレベル11でレベル36相当のステータスまで上がっていた。魔物の強さの目安は階層=レベルと言われているので、苦戦するはずがないのだ。
「余裕ね。レッツゴー」
「ちょっと、ユウ。ボス部屋は慎重に入らないと」
ユウが勢いに任せて50階層のボス部屋の中に。僕はもう少しレベルを上げてから入りたかったのだか、ユウを一人にする訳にはいかず、僕も慌ててボス部屋の中へ。
中にいたのはオーガ。……が……10匹。
「ユウ。一番奥のオーガは後回しにしろ。強いぞ」
「分かってるわ。あのオーガだけ魔核が赤いよね」
ユウはそう言うと向かってきたオーガを一撃で真っ二つに。僕もすぐに前に出てオーガに斬りかかる。ユウに遅れを取る訳にはいかないからね。
「よし。レベルが上がった」
「ふふふっ、私もよ」
レベル21になった僕とユウ。オーガはレベル50以上の者が戦う魔物なのだが、僕とユウの装備はA級装備で攻撃力は非常に高い。そして僕達はレベル20でレベル54相当のステータスがある。魔核が赤いオーガがすぐに向かって来ていたら苦戦したかも知れないが、様子見なのか動かず、部下らしきオーガを僕達に向かわせるように叫んでいるように感じる。それは僕達にとって有利に働いた。
僕が2匹目のオーガを倒すとユウも負けじと倒す。向かって来ているオーガは残り5匹。僕はユウよりも多く倒すために前に出ながらオーガを倒していく。
「私の勝ち~」
ユウは4匹のオーガを倒すと持っていたA級の剣を最後のオーガに投げつけ、倒してしまった。
「ユウ。武器から手を放すのは危険だよ。って向かって来てるぞ」
ジッと動かなかった赤い魔核のオーガがユウに向かって走り出していた。
「油断なんてしてないわよ」
武器を手放したユウに向かってオーガは正面から接近戦を仕掛けようとしている。ユウは何も持たないまま上段の構えを。そしてユウは何も持たないまま、振り下ろす。
ユウに向かって走って来たオーガは真っ二つ。
ユウの手には大剣が。
ユウのレベル1の時のアイテムボックスの容量は1㎥。1m✕1m✕1mなのだと思っていたのだが、2m以上ある大剣を収納していたユウ。0.5m✕0.5m✕4m等、1㎥ならば収納可能だった。お巡りさんが教えてくれたんだけどね。そして現在の容量はレベル✕1㎥の容量なのでかなりの物を収納することが出来ている。
「楽勝ね。さあ、どんどん行くわよ~」
僕は慎重に進みたいのだが。
僕もユウもお巡りさんを信じている。お巡りさんが大丈夫だと言ったのでユウの母親は無事なはずだ。頭では分かっていても……。僕はユウに何も言わずについていく。
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