第4話 採掘! ブラック! 退学?


 



「重いよ~」


「ファイト~」


僕達は毎日毎日魔鋼石の採掘を続けている。


1キロ=千円のままなので、日給200万円。


初期の頃との違いはユウの父親も手伝ってくれるようになったくらいかな。

 

僕の取り分が100万円で、ユウ達親子が3人で100万円ということになった。本当は4人で割って1人50万円でいいと思うのだがユウが拒否。私達は1人2万円でいいと。それはさすがにって思ったので、トラックのレンタル代金を含めて3人で100万円ということで納得してもらった。ユウの父親は仕事を辞めて参加してくれているんだから、ある程度はね。





「そうだ。あつし、先生が明日は学校に来いって。大事な話があるからって」


「あ~、退学ってことか? ユウは高校中退でいいの?」


「私は別に構わないけど、たぶん違う話だよ」


「違う?」


「ダンジョンの話みたいだよ。昨日、1組と2組がダンジョンについての特別授業をしたって言ってたからね」


「ダンジョンの授業か。あまり興味ないよね」

 

「ふふふっ。毎日入ってるくせに。でも、絶対だってよ。あつしもね」


「まあ、たまには休んで学校に行くのもいいかもね」


「ふふふっ。そういうことだから、パパとママには明日は休みだって伝えるからね」


「了解」


ダンジョンが出来てから、今日で3ヶ月。値下がりするまで頑張ろうと休みなく働き続けていたのでたまには休むのもいいかもね。


「あ~重い~。アイテムボックスのスキルを……?」


愚痴りながら運んでいたユウの声がいきなり途切れた。心配になった僕は作業を止め、振り向くと、ユウは#何も持たずに__・__#突っ立っていた。


「ユウ? どうした? 疲れたなら休んでいいよ」


「お、覚えちゃったかも?」


「覚えた? 何を?」


「本当にアイテムボックスのスキルを……覚えちゃったかも?」


「え? 誰も覚えれないから、そんなスキルはないって言われてるらしいけど?」


「その話は私も聞いたけど、覚えちゃったみたいなんだよ、ほら」


ユウがそう言うとユウの周りの魔鋼石が消えていく。


「凄っ。手に触れなくても収納出来るんだね」


「うん。魔鋼石を収納するって考えるだけなんだよ。魔力の消費はどうなんだろ? 全く疲れてる感じはしないかな」


「ユウのHPもMPも減ってないよ」


「じゃあ、魔鋼石運びが楽になるね。でも、どうして覚えれたのかな~、毎日思っていたのに」


「スキルや魔法を覚えるのに必要なのは思いの強さか、レベルって話なんだよね。ユウの場合はどちらも違うかな」


「毎日思っていたから、毎日の思いの強さが加算されたとか?」


「それはないんじゃないかな? アイテムボックスは警察や自衛隊が一番欲してるスキルって言ってたから、色々と検証してるだろうからね」


「ってことは、私が特別ってことね」


まあ、アイテムボックスを覚えた人が他にいても隠してるだろうね。軍事にも犯罪にも利用されそうだからね。


ユウがアイテムボックスのスキルを覚えたことにより、作業は物凄く楽になった。沢山の段ボールを用意して、ユウのアイテムボックスの中にどれだけ入るのかを試すと1㎥の容量だと分かった。少ないって思っていたのだが、魔鋼石が約2000キロも入り、作業があっという間に終わってしまうように。明日から、いや明後日からは採掘量を増やした方がいいだろう。




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