第2話 値上がり! 値上がり! 値上がり!
【あつしもダンジョン攻略手伝ってくれ】
【無理】
何度も断っているのに祖父の家に住み着いた兄から同じメッセージが届く。
そしてまた今日も?
【魔鋼石1キロ1万円。手伝ってくれ~。バイトのつもりで。1日で3万円は稼げるぞ~】
はあ~。だからダンジョンに入るのは無理だって。
僕は断ろうとしたのだが……。
魔鋼石? どこかで……。あっ。あれか。
穴の中の地面に落ちていた石を見た時に表示されたのを思い出した。
1キロで1万円か。下りる前の地面に落ちてるのを集めたら……1万円くらいになるのか?
僕の小遣いは月に5千円。その内の3千円がスマホ代で消えてしまう。お年玉が5万円あるので何とかやりくり出来ているのだが……1万円はデカい。
僕は中学の時に使っていた古い鞄を持って穴の中へと入った。
落ちてる石を確認すると、全てが魔鋼石。
ここにも、ここにも。
まだ拾い始めて1分も経っていないのに……たぶん5キロくらいの魔鋼石が鞄の中に。
さすがにこれ以上いれると破れるかな?
まだまだ大量に拾えるのだが一旦部屋へと戻ることに。
【5キロくらいあるけど、どうする?】
兄にメッセージを送るとすぐに返信が。
【いる。魔鋼石だよな? すぐにほしい。あつしは今どこ?】
【家】
【母さんに頼むから車のトランクに頼む】
【了】
【ちなみにレート上がったから期待してろ】
【レート?】
【サイト見てないのか? 冒険者ギルドっていうサイトを見てみろ。武具やアイテムのレートが載ってるから】
冒険者ギルド? そんなサイトがあるのか。
【ちなみにまだいる?】
【いる。だけど今日は5キロあれば十分。それ以上は魔力が足りないからな】
魔力? よく分からないけどサイトか。
【了】
冒険者ギルドで検索するとすぐにホームページを発見。
F級の剣→30万円
F級の槍→40万円
F級の大剣→100万円
F級の杖→30万円
F級の鎧→100万円
F級の盾→30万円
下級ポーション→200万円
中級ポーション→1千万円
上級ポーション→1億円
は? ポーション高っ。こんなの誰が買うんだよ。
って思っていたのだが、値段が更新されて更にびっくり。
F級の剣→60万円
F級の槍→80万円
F級の大剣→200万円
F級の杖→60万円
F級の鎧→200万円
F級の盾→60万円
下級ポーション→2千万円
中級ポーション→1億万円
上級ポーション→10億円
は? バグってるのか? こんな値段じゃ誰も買えないだろ。
魔鋼石は外に置いてあったバケツに入れ直し、母親の車のトランクに。
「あつし~。ご飯よ~」
母親の声で目が覚める。どうやら寝てたらしい。暇だったのでベッドの上で漫画を読んでいて……そのまま寝落ちしてたようだ。
台所に行くとテーブルの上には2人分のご飯とサラダが。
「焼けたわよ。今日は奮発したからね~」
母はそういうと、僕の前にぶ厚いステーキを置いてくれた。
「今日って給料日? ってか、父さんは?」
「お父さんはお兄ちゃんと一緒よ。色々と大変そうだったわよ」
「え~と、武具作り?」
僕がそう言うと母は首を横に振る。
「レートがどうだとか言ってたわよ。それとダンジョンでレベル上げするんだって。あっ、そうそう。これは魔鋼石の代金。あつしの取り分は3キロで18万円だってよ」
「3キロ? もっとあったような~って、18万円も? こんなに?」
「お兄ちゃんの取り分は150万円だって言ってたよ」
「は? 何それ?」
「ちなみに私の取り分は12万円ね」
「は? 母さんは何か手伝ったの?」
「ふふふっ。車で届けて上げたでしょ」
そ、それだけで? いや、僕も5分くらいしか……。まあ、いいか。
僕は母から渡されたお金をテーブルに置いたままステーキに被り付いた。
美味っ。もしかして高い肉なのかも。
「美味しいね。お兄ちゃん達は稼げる内に稼いでおくんだってよ。スタートダッシュがなんとかって言ってたかな」
スタートダッシュか。確かにあんなにポーションが高いなら、少し高くても武具を買ってダンジョンで宝探しするかも。
親友のショウから教えてもらったのだが、魔物にはダンジョンで取れる魔鋼石か魔法石で生成した武具しか役に立たないのだと。もしくは素手。兄が蹴りで倒したと言っていたので、素足もいいのだろう。金属バットはもちろん、銃や火焔放射器等でも全くダメージを与えられないのだとか。魔鋼石や魔法石で作ればってショウに聞くと、武具生成のスキルでしか加工することが出来ないのだと。
今の内に稼いで置いた方がいいのか。
「母さん、明日もお願い出来る?」
「お兄ちゃんからも、頼まれてるわよ。明日は8キロくらい欲しいって。あっ、そうそう。採掘用のツルハシを生成したから使うようにだって」
「ツルハシ? どこ?」
「車のトランク。え~っと、通常の壁は無理だけど……行き止まりの壁でデコボコしてたら採掘可能スポットって言ってたかな?」
「行き止まりの壁。じゃあ、試してみようかな」
「あっ、そうそう。5階層くらいまではないだろうって。理由は何か言ってたけど、忘れちゃったわね」
「そうなんだ。じゃあ、無理か」
僕は食べ終えると母の車からツルハシを持ち出し、自分の部屋に。
そして窓からダンジョンに。
両サイドの石壁を見るとツルツルしていた。
しかし一番奥まで進むと、行き止まりの壁はデコボコしていた。
もしかして可能なのか?
僕はツルハシを振り上げて、デコボコの壁に向かって振り下ろした。
おっ。成功か。
壁は脆く、簡単に魔鋼石を採掘することに成功。一振りで……たぶん、10キロくらい採掘に成功。
僕は地面に落ちた魔鋼石を拾い集めて自分の部屋へと戻る。
次の日も夕食時に母からお金を渡された。
「今日は10キロで600万円だってよ。ちゃんと貯金するのよ」
「え? え? そんなに?」
僕は慌ててスマホで冒険者ギルドのホームページにアクセスした。
すると、とんでもない金額に。
F級の剣→600万円
F級の槍→800万円
F級の大剣→2千万円
F級の杖→600万円
F級の鎧→2千万円
F級の盾→600万円
下級ポーション→3千万円
中級ポーション→2億万円
上級ポーション→100億円
何で? 絶対に誰も買えないよね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます