【短編】僕は同じクラスのあの子を今日もレンタルする-海水浴編-

@Zknu6

海水浴編

海辺に到着した彼女は、テンションが上がっている様子で自ら積極的に水に入っていき、波が膝に打ち付けるあたりまで進むとこちらを向く。

そして、いつもの彼女からは考えられないような大きな声で「水が冷たくて気持ちいいよ」と叫ぶと、両手いっぱいに水をすくい、こちらに向かって飛ばしてくる。

もちろん砂浜まで届くはずもなくその場で軽い水しぶきを上げる程度だったが、その光景を見ていると思わず笑みがこぼれる。

このような姿の彼女を見たのは初めてだった。まるで子供のように無邪気で、意図せず口から「かわいいな」という言葉が漏れた。

彼女にその言葉が聞こえていたのか、それとも聞こえていなかったのかは分からないが、落ち着きを取り戻ために自分も海に入った。

すると、彼女は照れくさそうに笑いながら、また水を飛ばしてきた。今度は距離が近かったこともあり、足元まで水しぶきが届いた。

直接水を当てない程度ながらもはしゃぐ彼女を見て、彼女の新たな一面を感じる。

普段はおとなしい雰囲気で大人っぽさを感じさせる彼女が、海辺では全く違う一面を見せてくれている。

学校生活では周囲からの信頼を得ている彼女が、こんなにもはしゃいでいるのは新鮮だ。

そんな彼女とのひと時が、今日の海に来て良かったと感じさせ、彼女をレンタルして良かったと思える瞬間となった。


だから僕は同じクラスのあの子を今日もレンタルする。


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