福岡県 雲霞 遥野

「絢愛さん。悪が出たと通報が入りました。一緒に行きましょう。」

「………分かった。」


今日も今日とて仕事に向かう。優しく絢愛を誘ったのは雲霞 遥野うんか はるのだ。酒を飲めるようになって1年経つ。その見た目は話し方からもわかるように穏やかな青年だ。光が当たると茶色ぽくなる髪を持ち、神衣である着物の上からは羽織を着ている。


「遥野様、絢愛様。もうすぐ到着になります。準備をお願いします。」

「うん。分かった。絢愛さん。今日は人型じゃないから遠くから攻撃してみましょう。」


なんでか分からないのか首をかしげる。


「絢愛さん、この前も怒られてましたし。戦い方は1つでは無いんですよ。その状況に合わせて変えられる方が余程有利です。」

「………なるほど。確かに。じゃ、頑張ってみる。」


と移動中の車からドアを開けて走り出す。彼女を追いかけるように雲霞もドアから出る。


「今回は液体型か……。」


悪にもいろんな種類があり、形を保つことが出来ない形成初期段階の悪は大抵液体型だ。


「………もう撃っても大丈夫?」


絢愛は散弾銃を両手に所持している。


「はい。僕がサポートします。」

「草葉顕現・葉銃くさばけんげん・そうじゅう


技名を紡ぐと同時にドドドドっ!!!と射撃音を響かせる。一瞬にして塵になる悪。


「やりましたね!絢愛さん。」

「…………出来た。ありがとう、遥野。」

「なんだ、やれば出来んじゃん。」


そう言いながら煙草を咥えて歩いてくる輝流。


「うぅぅ……。私、感動ですぅ。絢愛様っ!!今日はマカロンをご用意しますね。」


だばーと涙を流す雲霞の護衛官、唯咲 芭音ゆいさき はのん


「マカロンっ……。」

「絢愛さん、マカロン好きなんですか?」


こくこくと頷く絢愛。その様子が少しだけ可愛くて笑ってしまった雲霞であった。


~ 厄祓い神 福岡県 雲霞 遥野 ~

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