大阪府 高麗 琳耶

「はぁ………。」

「まったく、琳耶様は不器用ですね。」

「……否定出来ひんわ……。」


彼女、琳寧の前だとどうしても本音じゃない事を口走ってしまう高麗 琳耶こうれい りんや。神・保安部署の重要文書保管室にてパソコンと向き合っている。


「…あ、いた。ここにアクセスしてきた野郎が。」

「さすがです!!高麗様!!」

「いやぁ、まさか高麗様がこんな特技をお持ちとは!!」


保安部署の職員がこぞって彼を褒めているが集中しているのか彼には聞こえていない。彼はハッカーとして活躍している。


「琳耶ー?」

「…………琳寧?」

「なんで琳寧様のお声だけ聞き取れるんですか……。」


呆れたように言う彼の護衛官、橋中雅はしなか まさ。扉の向こうで琳寧が琳耶の様子を伺いに来たようだ。職員が扉を開ける。たたたっと走りよってくる琳寧。


「大丈夫そう?」

「お前学校は……?」

「今日は午前で終了。琳耶が心配になってここまで来てもうた。」


と顔をそむけながら話す。


「……心配?」

「だって……琳耶、こーゆーパソコンの仕事終わって次の仕事入った時いっつも死にそうな顔してんねんもん。」


ちゃんと寝れとる?と顔を近づける琳寧。


「なっ……寝れとるわっ!!ってか近いっ!!」

「はぁ?なんでそんな突っかかられやなあかんの?」

「まぁまぁ、おふたりとも。琳耶様は今日ずっと休憩なしで仕事してますし、ちょっと糖分足りてへんのかもしれませんね。」


後ろの方ではらはらと見守っていた職員がホッと息を吐く。


「確かに……あ、じゃあたし甘い物もってきたるわ。それで仕事頑張りや?」

「へいへい。どうも。」


はぁ!?とまた喧嘩が始まりそうになっているのを雅はもう見ないふりをした。



~ 大阪府 厄祓い神 高麗 琳耶 ~

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