愛知県 夜空 光里

夜空は今恋をしていた。相棒の花陽に。


「光里!」

「……うんっ。」


名前を呼ばれる度になんとも言えない幸福感が夜空を包む。


「光里様…顔がにやけてます。」

「え!?うわ……気をつけなきゃ…。」


とニコニコしながら夜空を見守る彼の護衛官、時崎真奈ときざきまな。さらさらの黒い髪、大きい瞳には花陽が映っているのだろう。小柄なその体に纏っているのは神衣である着物だ。


「光里?なんか俺の顔についてる?」

「い、いや!なんもついてない!」


そう?とまた花陽が護衛官と話を再開した。


「変かな?」

「何がでしょうか。」


ぼそっと真奈に聞く。


「男が男を好きだなんて。」

「別に変では無いと思います。恋歌様もそうおっしゃっていたではありませんか。」

「……うん。でも不安なんだ。僕普通じゃないから。」


と困ったように笑う夜空に少し間を置いて言う真奈。


「……普通とはなんでしょうか。どれを基準として普通と定めたのでしょうか?私には分かりません。」


花陽を見ながらそう答えた真奈。


「……なんか、恋歌ちゃんにも同じような事言われたなぁ。はは。そう……だよね。」


とまた愛おしそうに花陽を見つめる夜空だった。



~ 愛知県 厄祓い神 夜空 光里 ~

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