北海道 氷山 慶陽

「氷山様っ!」

「俺がやる。雪佳さんは下がっていなさい。」


齢35歳。氷山 慶陽ひょうざん けいよう。この力に目覚める前まではブラック企業に勤めていた。そのせいか歳の割にはやつれた顔。しわが目立つ。動きにくいといいながらも着物を着て今日も仕事に励んでいる。北海道は冷えるのか羽織を着ている。


「慶陽様………。あのまま雪佳様をずっと前線に出さないおつもりですか?」


心配そうに氷山に話を振る彼の護衛官、処坂 頼飛ところざか らいと。歳は25と言ったところだろうか。スーツに身を包みいつも氷山のサポートをしている。


「……俺が死ぬまではな。もう、あんな事は起きて欲しくないんだ。」


氷山は最近菜望の前の厄祓い神を目の前で殺された。それが思ったよりきているのだろうか。


「ですか、雪佳様の性格上あのままだとそのうち…。」

「分かっている。だが……。だめなんだ。前に1度だけ一緒に戦ったことがあるがどうしても手が震えて……。」


と拳を握る氷山。その様子を見て紅茶を出す処坂。


「………弥生にも恨まれてますよ。慶陽様。」

「……そうだろうな。でもこればっかりは……。」


少しだけ震えている手で紅茶を飲む様子を見てもう何も言わなくなった処坂だった。



~ 北海道 厄祓い神 氷山 慶陽 ~

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