1章 五大都市圏
東京都 菊乃華 恋歌
「きゃぁぁぁ!!!」
「逃げろっ!!こっちだっ!」
今日もまた街に悲鳴が飛び交う。そんな中、リンっと鈴の音を鳴らして空から舞い降りてきた1人の少女。その姿は聖女と言っても過言ではない。
「皆様方。ここまでよく耐えてくれました。後は私にお任せ下さい。
________その悪祓って魅せましょう」
可愛らしくそれでいて芯のある声で言葉を紡ぐ。
「桜顕現・流し
聖女は桜色の唇で音を奏で、扇を振る度桜が舞い散る。聖女によって悪は祓われた。
「恋歌様だっ!!」
「ありがとうございます!!」
わっと民衆に囲まれる聖女。
「お下がりください。恋歌様は高潔なる方です。次の用事も控えておりますゆえ…。」
そう言って民衆を下がらせたのは護衛官の
「そ、そんな威嚇しちゃだめだよ、あいちゃん。」
「威嚇などしておりません。私は、恋歌様をお守りしただけです。」
と聖女の方に眼差しを向ける愛利。ありがとう。と微笑んだこの聖女こそ、
「さぁ、お仕事は終わりました。館に戻りましょう。」
「うん。あ、桜恋君……あの、ありがとう。」
相方の桜恋におずおずとお礼を言う。一緒に戦ってくれたお礼だろう。
「…………礼なんかいい。お前が言う事じゃない。」
「あ、うん。そうだよね……。」
申し訳なさそうに笑う恋歌。そんな様子を見てすみません。と謝る。彼の護衛官。
「………………………行きましょう。恋歌様。」
「…うん。」
~ 東京都 厄祓い神 菊乃華 恋歌 ~
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