最終話 もうそういう立場ではない
待ち合わせ場所まで向かうのにかなりの時間を費やした。
まず家から出ようとするのに非常に勇気が必要だったし、かなりの恐怖心が胸を覆い尽くしていた。
けれど奥歯を噛み締めて外に出ると電車に乗り込んで待ち合わせ場所の個室のカフェへと向かうのであった。
予約を取ってくれていたムネネムに到着の連絡をすると彼女はすぐに入口まで顔を出してくれる。
「オオガネモチノに〜とさんですか?」
眼の前の美しく才能に溢れている女性を目にして僕は今後のビジョンを早速考えていた。
「ムネネムです。よろしくお願いします。こっちに来てください」
誘われるように入口から個室まで歩いて向かうと中には数名の女性の姿がある。
皆が皆、違うベクトルで美しいと感じた僕は彼女らのプロデュースに本気になっていた。
「それでなんですが…」
ムネネムが口を開くのを手で制すると僕は先んじて口を開いた。
「君たちは知っているかわからないけど…あるアイドルのプロデュースをしていたんだ。だから君たちのこともプロデュースしたい。良いかな…?」
彼女らは目を輝かせて頷くが少しだけ疑問を覚えたのか一人が口を開く。
「あるアイドルって?」
「それは…」
そうして僕はある伝説的なアイドルグループの名前を口にすると彼女らは唖然とした表情を浮かべている。
「だからあんなに投げ銭出来るんですか?」
「うん。本当にお金だけはあるから。今回、僕がサポートするわけだから…当面の生活費は僕が出す。アルバイトや仕事と兼業の人は…出来れば辞めて欲しいな。配信者を専業にして欲しい。十分生活できるまで生活費は出すから。と言うよりも君たちだったらすぐにでも人気になると思うな」
僕の言葉を半信半疑で聞いていた彼女らだが伝説的なアイドルグループのプロデューサーというバフが掛かっているようで彼女らは最終的に了承してくれる。
「じゃあ今後の予定だけど…」
そうして僕らはそこから今後のスケジュールを組んでいくのであった。
近い未来であの日カフェで会った彼女らは人気配信者になっていた。
チャンネル登録者数は信じられない数字で毎回の動画や配信で沢山の数字を稼いでいた。
僕はプロデューサーを再び始めて会社を起業した。
配信者の所属事務所とマネージャー業や育成やスカウトやプロデュースなどがメインの会社だった。
僕の人生を大きく変えてくれた画面の向こうの君に感謝を込めて。
今日も甘やかしてもらいたい気持ちを携えながら…。
完
ばぶみを感じる画面の向こうの君に全力でおぎゃりたい。今日も架空のママにおぎゃばぶ… ALC @AliceCarp
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