劇的で支配的な競技

カクヨムを通じて初めてレビューを書かせていただきます。

将棋の小説といえばご存知のものがあるとは思うが、それよりも将棋の裏にありそうで、しかし事実である本質を捉えていると感じた。
将棋はミスをすると評価点がマイナスになる競技である。従って最善手を打ち続ければ負けることはない。両者が最善手を打ち続ければ結末はない。ではミスするのはどういう場面か?判断を間違えかねないときである。なぜ判断を間違えるのか?選択肢が複雑である故に先が見えないからである。この小説はその点を真っ直ぐに見つめている。
結局、ミスをしなければ負けず、それならばとミスを誘うのが将棋である。絶望的な場面から僅か一手で即座に盤面の支配権を奪い取る、こんな劇的な展開は皆が心躍るだろう。

将棋をタイトル戦を見る程度で、実際にその盤面が現れるのかも分からない未熟者ですが、常に支配的なドラマを見せてくれるこの作品に感動して、初めてのレビューを語らせてもらいました。今後も楽しみに読ませていただきます。

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