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早くも『来週の土曜日』になりました。
そして、午前11時ちょっと前の現在。史都と有田くんの姿が、ここナカジマスーパーアイランドwithリヒテンシュタイン村の一角にあります。
数々のアトラクションが配されたワイドな敷地の中、すでに2人は、軽く2つほどのそれを体験。で、そのうちの1つは、いわゆる絶叫マシンだったのですが…
「…な、なんという乗り物なんだ〜。私の若い頃には、あんな激しいのはなかったぞ〜」
「だから言ったじゃありませんか〜、なにもあなたまで一緒に乗ることはないと〜」
時間が経つに連れ、ますます賑やかになりつつある園内。その近くに史都と有田くんが佇む傍ら、なにやら若き男女2名が、ベンチに並び座って会話を交わしています。
しかし、そのぐったりとした彼といい、また寄り添う彼女といい、どこかで聞いたことのある声や口調だと思ったら…そう、彼らったら楠夫妻に違いありません。
見れば、史都と同じく、ラジカセも持参していますしね。
ええ、史都を心配するあまり帝都が、わざわざ彼女の後をつけてきたんです。この日の為に、やはりわざわざ用意した若者の頭部と、
さらに帝都は、湖都の分の若き頭部も準備。なんだかんだで、彼女も無理やり同行させ、ここまでやってきたのです。
ちなみに、ファッションについてもまた、史都たちに負けず劣らず。夫婦揃って、それなりに若めの物を身に着けています。
まあ、いずれにせよ無表情なのが気になるとはいえ、これなら史都にバレることもないでしょう。たぶん。
「…なら、史都ちゃん。もうお化け屋敷に行っちゃう? で、それから一旦リヒテンシュタイン村に入って、ゆっくりお昼ご飯を食べて、あーたらこーたらさらまんだらー…」
「分かりました〜、そうしましょう〜」
史都も賛成。実は、きょう最も2人が楽しみにしているのが、その廃病院を模したお化け屋敷『嬉し恥ずかし恐怖のニコニコクリニック』なのです。
なんといっても、数々の絶叫マシン群と並んで、当園の目玉の1つですからね。それは。
ともあれ、そのお化け屋敷に向かって、史都と有田くんが再び歩き出しました。
「よし〜、私たちも行こう〜」
「もう大丈夫なんですか〜、あなた〜」
「うむ〜、平気だ〜」
どうやら回復。すくと立ち上がるや帝都が、湖都の手を引き引き、史都たち2人の後に続きます。
今度は怖すぎて、ぐったり…とか、無いといいですけどね。帝都は。
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