第26話 悪戯な
「ば、馬鹿な……ありえ――…………」
コアを失った
「や……やったの……?」
未だ混乱した様子で警戒するスリィブ。
「完全に死んでるニャ」
センリが
「……何とか勝てましたね、ドロウさん……ドロウさん?」
プラテアが俺を呼んでいる。返事をしたいけど、どうも身体が動かない。
全身痛いはずなのに、意識は何処か遠くへと消えていく。
「ドロウさん!? ドロウさん!?」
「ちょっと!? どうしたの!? 返事をして、ドロウ!」
プラテアとスリィブ、二人の声も徐々に遠ざかっていく。
もしかして、俺はこのまま死んで――……。
「――いや、そんなことなかったわ」
「「うわぁ!?」」
全身の痛みが引いていく。遠くなっていた意識も元に戻ってきた。
それにいつの間にか、俺の手元には大量のカードが握られていた。
「……なるほど、そういうことか」
俺は手に持ったカードの中から一番上に置かれた一枚に目を向ける。
そのカードの名は「力の代償」。
プレイヤーのHPを1にする代わりに自分の
これを使うことで俺は自分の命を削り、代わりに攻撃力を上昇させたスリィブの一撃を見舞うことで俺達は
そして相手が倒れたということはそれ即ち、
だからさっき俺が使用して墓地に送ったカード達は
「いや~、よかったよかった」
「「よくない(です)!」」
二人の怒声が同時に飛んでくる。
「心配したんですからね!?」
「焦らせないでちょうだい!」
「ご、ごめんなさい…………」
目を見ただけで本気で怒ってるのが伝わってきた。
「ほ、ほら! もう
そう、
ここに来る前に他の部屋は一応探していたが、俺が入れられていた箱以外にそれらしきものは見当たらなかった。
まだあるとすれば、この部屋以外にはあり得ない。
「けど、この部屋にもそれらしい箱なんてなかったよな」
「あったニャ」
「あった!?」
急いでセンリの元へ駆け寄ると、そこには目が眩みそうになる程の装飾に覆われた宝箱が置かれていた。
「如何にもって感じの宝箱だな」
「貴方が入っていた宝箱よりも豪華ね」
「おいやめろ。遠回しにハズレって言われてるみたいでなんか傷つく」
ともかく、これで目的の宝箱は手に入った。
「けど、流石に全員分の宝箱はなさそうね……」
宝箱は一個。俺達は四人。
誰が宝箱を手にするかなんて、今更揉めることでもないだろう。
「ほら、早く開けろよ」
「……えっ?」
「『えっ』じゃないだろ。お前が宝箱欲しいっていうから
「それは……そうだけど、皆は欲しくないの? 自分が望んでる物が入ってるかもしれないのよ?」
「欲しいかと言われればそりゃ欲しいけどさ、正直さっきの勝負に勝てた時点で満足したから俺はいいよ」
「私も、特段望むものもありませんので」
「ニャーは自分の分があるからいいニャ」
「えっ?」
「あっ……」
センリの顔には「しまった」という四文字がはっきりと浮かび、額には大量の冷や汗が流れていた。
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