第15話 二体の妖怪
宣言によって掲げたカード二枚が手元から消失し、俺の目の前に二体の
一体は蒼い炎を身体に纏う大きな蜂の群れ、「
もう一体は暗青色の着物に袖を通した鬼女、「三途の橋姫」。
呼び出された二体は揃って後ろを振り返り、俺の目をじっと見つめる。そこにはあの時、センリが見せたのと同じ思いが秘められていた。
「
二体は同時に動き出し、それぞれ俺が指示した方の援護へと向かう。
センリの時もそうだったが、どうやら召喚した
だからセンリもあの二体も、自分は何をするべきなのか、その目を通して俺に命令を促していたのだ。
そして命令した通り、
空中から素早く接近し、
――グルォアァ……ァ。
重苦の声を上げる
内側から溢れる何かは勢いを落とすことなく
最早自身の原型を保てなくなった
まだ頭の中に微かに残っていた夢気分も今ので完全に晴れた。俺の現実は
そのまま他の
そして
両者に囲まれた
* * *
――グルルァ!
一方、向こうの
プラテアの援護に向かわせた三途の橋姫はというと、
「クッ……! このっ!!!」
一心に斧を振り続けるプラテア。だが、やはり足元が覚束ない。振り下ろした後に確かな隙を見せてしまう。
そこに伸びるゴブリンの魔の手。悪辣な笑顔を翳して次々と斧を持つ手へ掴みかかる。
だが、突如として現れた水の壁によってその手はプラテアには届かない。
それでも
「
その言葉と共に水の刃が飛来する。刃の通り道に伸びた
「然り。我を見よ。我を感ぜよ。他の誰にもあらぬ、我こそを」
そう話す橋姫の目は歓びで満ちており、自分の元へ向かってくる
橋姫は戦闘の最中でも優雅な振る舞いを忘れず、自らが生み出した水を踊る様に召している。この水が攻撃にも防御にも用いられるのだ。
時に鋭く首を刎ね、時に攻撃を覆い防ぎ、時に顔を塞いで呼吸を奪う。
変幻自在の攻防、そして彼女の異質な様子に気圧された
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