第13話 決闘、開始!
「やった!」
前と違い、確かに役立った自身の魔法を見て満足げなスリィブ。
まさか本当に俺達よりも一回り二回りも大きな鉄球を破壊出来るとは思わなかった。
少々砂埃が舞っているせいで辺りが見えづらいが、俺達を追いかけてきた鉄球はあれ以外に確認出来ない。
「これで何とか危機は去ったな……」
目の前には階段。動かなければ罠を踏む心配もない。ここらで一息つけそうだ。
「助かったよスリィブ。お前の魔法がなければどうなってたか……」
「えへへ……どういたしましてぇ」
どうも力の抜けた返事をすると思ったら、本当に彼女の身体から力が抜けていた。
「流石に私の魔力じゃ上級魔法二発が限界みたい……。ごめん、少し休ませて……」
「あぁ、だいじょ――」
……ん? 気のせいだろうか。砂埃の向こう、何かが動いてるような。
徐々に晴れていく砂埃の奥へと目を凝らしていると、それが何なのかはっきりした。
壁の奥にある部屋一面を埋め尽くす人影。気色悪い緑色の肌。殺意の波動を感じさせる眼力。
見覚えのある光景だ。印象的過ぎて忘れられる訳がない。
確か前も彼女の魔法で壁を破壊したせいでこうして睨まれた挙句散々追いかけられて、それはもう大変な目に遭ったんだよな。
……そう、つまり俺達は今から
「……コイツがやりました。俺達は無関係です。ユルシテ」
「ちょっと! 今回ばかりはそっちが指示したんでしょ!」
クソッ、流石に無理か。
「に、逃げるぞ!!!」
こうして人生二度目となる、
* * *
またしても
先頭を走る悪戯な仙狸。その背中を付いて走るプラテア。
そしてその遥か後ろ、
動けないスリィブを置いていく訳にもいかないので俺が彼女を背負って逃げているのだが、流石に人一人抱えたままでは追いつかれるのは時間の問題だった。
「――ッ! ドロウさん、あれ!」
くたくたになりながらもプラテアが指さす方角に目を向けると、そこには後ろを追いかけてくる軍勢に引けを取らない数の
「最初に追いかけてきた
前も後ろもゴブリンだらけ。左右に道はなく、完全に逃げ場を失った。
「――くっ、来るなら来い!」
スリィブを降ろし、咄嗟にファイティングポーズを取る。
勿論格闘技の経験なんてない、見せかけのポーズだ。
だが少しでも抵抗する意思を見せなければ、それこそあの大群が一斉に襲い掛かってきて俺達は終わる。
――グルルァア!
向こうも一定の間合いを保って接近を止めた。あんな見た目でも多少の知恵はあるみたいだ。
相手が様子を窺ってる間に、一刻も早くこの状況を打破する算段を立てなければ……。
――ちょんちょん。
必死に頭の中を回転させていると、誰かが俺の背中を何度も突いてくる。
振り返ると悪戯な仙狸がその鋭い眼で何かを訴えかけていた。
目の奥には確かに彼女の思いが秘められている気がする。
俺にはそれが「私を使え」という彼女なりの
「……倒せるか? アイツら」
俺の問いかけに彼女は黙って頷いた。
彼女が答えてくれた以上、俺には信じる以外の選択肢などない。
何故なら彼女
「よし、頼んだぞ!
――
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