第12話 罠のオンパレード
――ふぎゅっ!
悪戯な仙狸を追いかけるべく瓦礫の山から一歩足を踏み出すと、何処かで聞き覚えのある声が真下から聞こえてきた。
「「…………?」」
足元にある瓦礫をどかしていくと、そこには土だらけになった水色髪が埋もれていた。
同じタイミングで落ちたはずなのに、どうして一人だけ瓦礫の下敷きになっているのか疑問は残るが、取り敢えず協力して救助してやることに。
「――はぁっ! はぁっ!!! ……助かったぁ…………」
「……この状況でよく生きてたな、お前」
俺以上に全身ボロボロになっていたスリィブだが、身体は思ったより頑丈らしい。瓦礫の下敷きになっていたというのに割とピンピンしている。
「助けてくれてありがと……あれ? その人は?」
あぁ、そっか。スリィブはプラテアがここにいる経緯を知らないのか。
「さっきそこの通路で見つけたプラテアだ。俺と同じで、知らない間にここに迷い込んでたらしい」
「よろしくお願いします……」
「貴方もなの……? 私はスリィブ。まぁ、よろしくね」
何とか誤魔化せたので、このままプラテアには俺と同じ「記憶喪失の遭難者」として振舞ってもらうことにした。
それにしても、まさかここが俺の住んでいた世界とは別の世界だったとは。
ということは、彼女の持っていたごつい装備や見せてくれた地図、それに手品だと思っていた
……途端に罪悪感が湧いてきた。俺は親切丁寧に教えてくれていた相手を中二病と断定して変人扱いしていたのか。
「……ごめんな、スリィブ」
「何でドロウが謝るの?」
「気にしないでくれ。こっちが謝りたかっただけだ」
「???」
そうして三人から四人へと増えた俺達は改めてこの遺跡、いや
目指すは
「お前ホントいい加減にしろよ!!!」
「ご、ごめんなさぁぁぁい!!!」
またしても俺達は
足元には無数の落とし穴、左右からは大量の弓矢が発射され、背後からは巨大鉄球と何やら怪しげなガスが迫り、極めつけと言わんばかりに前方の壁が通路を塞ごうとじわじわ降りてきている。
何故こんな罠のオンパレード状態になっているのかというと、スリィブが触る床や壁が軒並み
最早狙って押しているとしか思えない的中率に俺達は抜かれた度肝を延々と冷やす羽目になった。
* * *
どうにか無数の罠を掻い潜って
だがそれと同じくして、巨大鉄球が俺達と接触寸前のところまで接近してきていた。
このままじゃギリギリ階段に間に合うかどうか分からない。もし間に合ったとしても鉄球が衝突することで階段が崩れてしまうかもしれない。
「――そうだ! 今こそあの時見せた
「アレ!?」
いまいちピンときていないスリィブに俺は必死に訴えかける。
「アレだよ! あの水出して壁ぶっ壊してたヤツ!」
「――! 分かったわ!」
スリィブは振り返ると同時に両手を構え、急接近する巨大鉄球へと向ける。
「――
両手の間に生み出される水泡。
一瞬でビーチボールサイズまで大きくなったそれはレーザー砲の如き勢いと威力で水を発射し、見事巨大鉄球を破壊した。
大きく砕かれた鉄球の破片は回転していたエネルギーを持て余し、周辺の壁へとぶつかった。
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