第4話 完全敗北
僅か三ターンという決着、そしてデュエルサモナーズにおいてトップの実力を誇っていた
「――それでは、優勝者である
「えぇっと、まさか優勝できるとは思っていなかったので……。けど、憧れだった
スマホから流れるインタビュー音声が俺に敗北を実感させる。
あの後、会場を飛び出して家に帰った俺は使用したデッキを広げてじっと見つめていた。
何故負けたのか。何故勝てなかったのか。その原因を一刻も早く突き止めたかった。
「それにしても、決勝戦は衝撃的な展開でしたね。私はてっきりザーガループへの対策をきっちり決めた
「そうですね……。そこは研究の甲斐があったかなって思います」
――研究?
「それでは、ここで
そうして画面の一部に一枚の写真が掲載される。
「デッキのタイプは召喚してすぐに攻撃で出来るスペクターやそれを補助するカードが多い、所謂速攻デッキというものですね。……しかし、あまり大会では使用されていないカードもちらほら見受けられますが」
「それらのカードは
俺対策……だと!?
改めて配信上に表示されているデッキリストを見る。
確かにベースは速攻デッキだが……普通なら採用されない様なカードがピン刺し(※1)されている。
カード効果を見れば、ピン刺しされている理由が俺の考えたザーガループ用メタカードを更にメタる事だというのは一目瞭然だった。
つまりアイツは、俺がザーガループをメタる構築を組んでくる事を読んでいた……っていうのか!?
今回、俺が大会で使用したデッキは最近作ったばかりの完全オリジナル構築だった。
初披露する前にSNSでデッキ内容を公開する様な馬鹿な真似はしていないし、初見ではまず対処出来ないはず……。
それをあの
しかもあのデッキリスト、一歩構築を間違えればピン刺ししたカードが速攻で相手を倒すというデッキのコンセプトを崩壊させかねない。そんなギリギリのバランスで構築されている。余程調整を重ねたのだろう。
「その
「分かりました。まずこのカードですが――」
そうして
この瞬間、俺はようやく自覚した。
俺はこの、
「それでは
「――クソッ!」
俺は反射的に手に持っていたスマホを地面に投げつける。
スマホは地面に激突した瞬間に暗転して地面に転がった。
改めて見る自分の顔はこれまでにない程に悔しさでくしゃくしゃになっていた。
――俺はこの
それなのに――。
「クソッ! クソォォォォォォォォォォ!!!」
腹の底から湧き上がる悔しさが全身へと広がっていく。叫ばずにはいられなかった。
「覚えてろよ、
何だ……!? 急に頭が……!!!
ズキンとした衝撃と共に頭が割れそうなくらい痛む。それに吐き気もするし、手足も段々痺れてきた。
視線を落とすと手には滝の様な汗が流れているし、何より心臓が締めつけられるように痛い。
それに何だか頭の中が温かくなって、脳みそも俺の意識も、何もかもが熱に溶かされていった――。
【デュエル・サモナーズのルール概要】
デュエル・サモナーズを遊ぶ各プレイヤーには「HP(体力)」が存在する(公式ルールではHPは10000と定められている)。
プレイヤーは「相手のHPを0にする」か、「相手のデッキを0枚にした状態で相手がドローするか」が主な勝利条件となる。
カードの種類は「
カードを使用するフィールドには「山札」、「場」、「墓場」、「黄泉」が存在する。
山札は自身のデッキを置く場所であり、ここからカードをドローする。
場は
墓場は破壊された
黄泉は主に
デュエル開始時の手札は5枚。先行となったプレイヤーは最初のターン、カードをドローすることは出来ない。
ターンは「カードのドロー」、「
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