第55話 第5章 その6
ワイルドお姉さん!イレイナかっこいいよおおお!ありがとうおおおおお!
心の中で彼女の名前を叫び、冷静になる。これで俺は一人じゃない!というよりイレイナは部隊でも戦闘向きの能力者。
一人で最新型の陸上戦車を壊滅させたり、要人警護任務で襲ってきた暗殺者を誰にも気づかれずに全滅させたりしてて、優秀だ。
勝てる!これであいつに勝って俺は悠々自適にここから去る……
……ん?
いや、勝てるか?あんなバケモノ……
いや……ってかイレイナ……なんであんな攻撃跳ね返せるの?
ってか銃弾弾くドラゴンの鱗にどうやってダメージを……
「いやあーヤベエな。あのトカゲの鱗硬えや。オレの腕、ちょージンジンしやがる……」
イレイナは手を再度握りしめるとバキバキと音がなった。
こいつ……殴って防いだのか……どうやったらそんなパワーが産まれるんだ?
まあ、能力を発現させたのは俺だが……
「で、さ。オレは今からこいつを思いっきりぶん殴る。この戦いが終わった後、オレの部屋で手が大丈夫か見て欲しいんだ。そのあとにしょ…食事とかどうだ///?」
イレイナはやや顔を赤らめて聞いてくる。
それほど痛かったのか……
「ああ!わかった!」
返事をした瞬間、イレイナの瞳は鋭く光り、眩かった。
カッコイイ……まさに野獣の眼光。
彼女の表情をみてドキドキしてくる。
「今晩はでけえトカゲのステーキでだぜええええええええ!!!」
「こんなもの食えるかああああああああ!!」
「がーん……」
なんか変な幻聴が聞こえたな。ワイルドセクシーお姉さんがこんなまぬけな声を上げるはずがない。
「って来てるー!」
ドラゴンはその大きなツメでイレイナに目掛けて振り下ろす。
ガッシイイイイインンンン!!
その衝撃でアレクサはやや地面にめり込むが、片手で受け止める。
その何トンもの威力であっただろう攻撃を受け止めてもイレイナは余裕そうにしていた。
いや……
「ぐががががっ……」
イレイナのその手は爪をたて、ドラゴンの手のひらに突き刺していた。
そしてポタポタと血が滴ってきていた。
「おい、てめえ。何ドクターとの会話の邪魔してんだよ。てめえに邪魔されてこっちは腹ぁ立ってんだ。あ?」
「キサマ!何者だ!このドラゴンの腕力を受け止めるとは……」
ベルナーもイレイナに向かって叫ぶ。
「答えになってねえよ……」
その瞬間、ドラゴンのツメは地面に突き刺さる。イレイナが潰れたわけではない。ドラゴンが反応しきれないほどの速さで懐にもぐり、
そして飛び上がり、ドラゴンの頭まで飛び上がった。
そしてそのまま、一回転し、「おらああああ!!」と叫びながら脳天にかかと落としを決める。
「ごおおおおおお!!」
ドラゴンは悲鳴と共に地面に突っ伏し、その巨体ゆえに地面が揺れた。
頭が揺れたせいかドラゴンの目は焦点が合わなくなっていた。
イレイナのその鋭い目はスキを見逃してない。即座に腹に回り、拳を構える。
「オレは今から3発殴る。1発はドクターを襲った罪、2発目は仲間を笑った罪、3発目はてめえがマズそうだからプレゼントとしてふさわしくなかった罪だ」
グン!
イレイナは一歩足を踏み込み、拳を触れるように当てた。
『三撃必殺……』
ドン!ドン!ドン!
音が3回鳴り響く。
「ごおおおおおお!!」
横になっていた腹がへこみ、巨体が浮き吹き飛ぶ。
「がああああ!!があああああ!!」
痛みに耐えるように大声をだしてドラゴンは起き上がるも……
「がは……」
気絶するかのように悶絶した。
「ごほおおおおおおおおおお!!!」
そして再び身体を浮き上がらせ吹き飛んだ。
ずささささ……巨体が地面を擦れながら移動し、ズンと音を立てながらドラゴンは倒れた。
わあ、ドラゴンの腹、すっげえアザになってる……どんな威力なんだよ……
俺は心の中で呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます