第54話 第5章 その5 主人公視点

 わああああ!死ぬうううううううう!

 俺は心の中で叫ぶ。

 本当に恐ろしい時は人間声がでない。

 マヌケ声を出して笑われながら死ぬよりましだろうか?

 ヒト一人握り潰せる大きなドラゴンの腕が俺の影を作る。

 こんな巨体であれだけのダメージを受けて、動けるもんか?普通!

 そう思うが、もう遅い。

もはや逃げるなんて考えられない速度で振り下ろされた。

 大ダメージを与えたはずなのに!めちゃくちゃ早いスピードで攻撃できるとか普通の生物じゃねえよ……チート生物すぎる……。

 とっさに頭を守ろうとうずくまるが意味がないだろう。でも目をつぶってこれから起きる自身の悲惨で飛散な光景をみるよりかはマシだ。

 

 ああ、俺の人生ここで終わりか……

 こんなことなら、ミシェアのメスガキムーブにわからせ案件しておけば良かった……

 あのまま大人になったらロクな大人にならない。

 大人としてしっかり教育的指導をしておくべきだった。

 

 神様、次に生まれ変わるなら剣と魔法のファンタジー世界できゃわいいお姫様ときゃわいい奴隷とセクシー爆乳お姉さんたちのハーレムで

チート能力でスローライフを送らせてください。

 もう、まともな戦闘能力がないのに戦うのはコリゴリなんです。血も死ももうお腹いっぱいなんです……

 痛いのもいやなんです……

 

 ガッチィィィィン!!

 まるで金属と金属がぶつかるような音が鳴り響く。

 「グオオオオオオ!」

 ドラゴンが腕を見て、振る震えていた。

 俺は前をみてドラゴンをみる。

 ドラゴンは再び、片方の腕を振り下ろそうとするも、

 「ゴホオオオオオオォォォォ!!」

  意識外からの不意打ちだったのだろうか?大きな叫び声をあげながらドラゴンの腹に大きなへこみが産まれ、痛みでズシズシと後ろにたじろいだ。

  俺はこの光景を見ながら彼女の存在を感じる。


 「よお!大丈夫か?様子見していたがもう限界だ。ドクター。一体ここはどうなってるんだ?なんだよこいつら……」

 突如として声が聞こえる。



 この任務の際元々、3人の仲間で遠征する予定だった。

 キャプテンはいつも心配性だ。

 だから、万が一があった際に備え、完全に誰からも感知できない彼女を任務に選抜していた。

 常に姿を消していたが、俺が走りだした時に彼女の声が聞こえていたから、もしかしたら、一緒に転移されてないかと思っていた。

 でもいる。姿を消し、超人的パワーで敵を殲滅する目には見えない捕食者。


 こんなことができるのは彼女しかいない。



 目の前にはぼんやりと現れてくるワイルドセクシーお姉さんがいる。


「イレイナァァァァー!」

 俺は彼女の名前を叫ぶ。

 彼女は俺の方をちらりとみて親指を立てた。

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