第52話 第5章 その3


 「うわあああ!キャプテン!この対戦車用ガトリングガン、じゃじゃ馬過ぎて狙ったやつ当たらなかったですよ!不良品です!見て下さい!」

 そう言いながらルイスはトラックに積んであった対戦車用ガトリングガンをぶっぱなし、再びやってきた兵士たちに向かって撃ちまくった。

「ぐええええええええ!!!」「俺の腕がぁ!俺の腕がぁ!」「あっあっあっ……」「うわああああああみんなあああああああ」

 しかし、確実にすべての命を奪う事はなく、身体を吹き飛ばされたものたちが叫びながら痛みを訴えていた。しかし、生き残ったものもいて、その地獄に恐怖していた。

 

 「ちげえよルイス!そういうもんは面でとらえるんだ!狙いなんか付けずに撃ちまくって片っ端からぶっ放せ!」

 キャプテンはライフルを構え、一発の弾丸を打つ。

 その銃弾は生き残りの頭を打ち抜き、その能力である爆炎は周囲20メートルを焼き、すべての命を無慈悲に奪った。

「取り逃しはさっきみたいに俺がやる!安心しろ!弾切れになるまでぶっころしてやろうぜ!」

 「了解です!キャプテン!!」

 ルイスはウキウキで答えた。

 「で、嬢ちゃん!どうよ!ケーニヒの末路は!最高だったろ!口のなかに爆弾突っ込んで放り出した時の顔とかすごかっただろ!?」

 「最高でした……これでみんなも浮かばれます……」

「どうした?嬢ちゃん、浮かない顔して、テンション下がるぜ」

 「いやいやいや!これ救出作戦ですよね?間違ってないですよね?どうしてこんなに大騒ぎしているのですか?こんなに騒いだらドクターが人質にされて、殺されてしまうのでは?」

「あー、だからちょっと不安そうなんだ……たしかにアリアちゃんは知らなかったもんねー」

 ミシェアは察したが気まずそうにしている。伝えるべきか迷っているのだ。

 「ははっ、大丈夫だドクターを何だと思っている?」

 キャプテンはミシェアを遮り、笑って質問をした。

 「お医者様でしょうか?それとも研究者ですか?そういった言葉の意味に聞こえるのですが……」

「ドクターは超人的能力特殊戦術秘密部隊。エンドメイカーズの最高幹部がひとり、アビリティネーム、『ドクター・シャイニング』から取った愛称だ。

 これまであまたの危機を切り抜けている。どんな状況下でも絶対に生きて帰ってきたお人だ。それに俺の武器も渡している。ちょっとしたことでは死にはしない。

 むしろ全滅させて戻って来るかもしれねえぞ」

「えっ?そんなに強いお方だったのですか?」

 「むしろ、最高幹部なのに、こんな人数しかいない危険任務に普通についてくる人だぞ。弱いと思うか?」

 「たしかに……」

 「だからバックアップのために俺たちは出来るだけ騒いで、ドクターに向く戦力リソースを軽減する。絶対に誰もかけることなく生きて帰るぞ!」

「イエー!」


 ルイスは大声で叫ぶ。

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