第50話 第5章 悪の組織の戦い方 その1 第三者視点
「はあ、暇だなあ。この前きたメストカゲの一団の女たち。結構、よさげな女多かったのに全部ウェアウルフの餌にしやがって、
たまには俺たちにも餌をくれてもいいんじゃねえかって思うのだが、どうよ」
「ははっ、そうだな。減るもんじゃなし、俺たちが楽しんだあとくれてやればなあ。犬畜生なんか残飯で十分だ。俺んちの犬も残飯でこんくらいはデカくなってるってのに」
兵士の一人が手をいっぱいに広げて笑う。
「お貴族様のペットは俺たちの給金よりいい物食ってるってことだよ。王都であんな女やろうと思えば、一か月分の給金はいるぞ。はやく慣れとけ、ここの仕事は楽なんだから」
「たしか、ライナーさんは他の町から来たんですよね」
「ああ、ここはいい。モンスターが警備という雑務をやってくれるからな。俺たちは剣を鍛え、客人を迎え、あとは仲間と話すだけだ。
ベルナーにテイムされた魔物を恐れてて野生の魔物は来ないし、襲ってくる盗賊もない。最高の職場だ。辺境で来るお偉方も少ないしな」
ベルナー領、ブランステット城の城門、兵士たちは椅子に座り、おのおの会話を楽しんでる。
ブランステット城はモンスターに作らせた大きな壁に囲まれた町であり、城と言っているが実質は町であった。
城の内部では各地からスカウトされた兵士たちが暮らしており、家族で住んでいるのは少なかった。
それはベルナーというモンスターテイマーとしての力だ。
他国との国境沿い、侵略者やならず者が頻繁に来るのが本来なら常だが、理性のないモンスターを従えているベルナーに喧嘩を売るバカや国はおらず、常に兵士たちは暇にしていた。
「おい、そろそろ交代するぞ」
「へーい……ってあれはなんだ?人か?」
遠目に人影がこちらに向かってやって来る。
次第にそれは汗だくになりながらも近づいてきて、必死の形相でかけてくる。
ただならぬ表情は一部の兵士の心をざわつかせる。
「あれ、ケーニヒ王子じゃありませんか?」
「たしかに……だいぶやつれていて服装もボロボロだがケーニヒ様だ。たしかトカゲ姫を捉えに行っていたはずだが……」
「城門をあけますか?」
「いや、罠の可能性がある。彼には私兵もいるし、護衛に悪魔とも契約していたはず……」
兵士たちが話をしている間にケーニヒは近づく、その身体は節々にぶつけたような小さな青あざがあり、拷問を受けたにしては軽傷だった。
「ともかく、ここで迎えよう。中には入れるな。何があっても俺たちなら対処できる。いいな」
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