第44話 第4章 その4 主人公視点
「僕はね。産まれた時から才能があったのだよ。モンスターテイマーというスキルだ。みなこれは魔物を従わせるスキルだと思っているが違う。
心を通わせるんだ。彼らの感情をしり、それを超えて接するスキルだ。そうして心を通わせて友達になる。そして力を一部貰うんだ。
これの本質は魔物をテイムすればするほど、私自身も強くなる。魔物のスキルの一部を受け継ぐんだ。そうして寿命や地位や力を付けていった。
そうして行くとどんどん人に恐れられて敬われて私は人と思われなくなっていった。だからこうして僕の事を知らない人にであうと気持ちが高まるんだ.
こんな風に話せるのは娘ぐらいだよ。ああ、娘というのは私の最高傑作でね。彼女は天才で……」
こいつ、いったい何分話すんだ?さっきからこのベルナーという人の会話は止まらない。目線も俺をじっと見る事もなく、圧倒的に上の立場の人間が自慢話しているときと同じ感じだ。
俺の超絶話術で切り抜けようと思っていたが、そんな暇もなく彼の自分語りを聞いていた。
初めはこいつも俺の事を探りを入れようと会話をしようとしたのかと思ったがそういう風でもなく、まるでお爺ちゃんの昔話にうんざりしている孫の気分だ。
話始めてから、こちらを見る事はあまりなく、ちょこちょこ反応して上げないと捕食者のような目で睨みつけてくる。
見た目的にこちらの方が年上なはずだが……あながち300歳以上と言っていたのは嘘ではないかもしれない。
そうでないとこんな横柄な態度はとれないはずだ。
「ところで君の事を教えてくれるかい?そんな少ない魔力……まるで魔力がないみたいな、それほどの魔力でどうやって生きてきた?」
「えっ?」
ま、魔力!?それ他人から見えるの……
「まあ、私ほどのレベルだから見るだけでわかる。普通はわからん。それほど驚かなくてもいい」
「ああ、なるほど……」
なるほどってなんだよと自分で自分にツッコミを入れるもこんなファンタジー世界の常識なんてわからん……
俺の驚きの表情を何か勘違いしてくれたようだ。
なら……
「食費を切り詰めて、朝から晩まで働く感じですかね」と無難な言葉を投げかける。
「そうか……おや、そろそろ食事ができたようだ。話し相手になってくれたお礼に最高の料理を食べさせてあげよう」
蛇メイドがキヤリーで運んできた皿を手際よく、ぶれもなく、食事を出した。
「……」
そこには白いスープがどろりとあり、みたことないものが彩りで添えられている。
いや、これはアレではない……それにここは異世界だ。
そんなものがあるはずがない……
「普通スープは三番目なのだがね、でも腹を先に温めたほうが内臓にいい。歳の知恵だ」
ベルナーは俺の事を気にも留めないでスープを口にする。
ドラゴンは「ジュッボジュルルルルジュポポポポ」と汚らしい音を鳴らして飲んでいた。
ドラゴンもドラゴンで俺の事はそこらのアリが動いている程度の興味しかないのだろう。
対してこちらを気にしない……
「食べないのかい?冷めてしまうよ。庶民は食事に貪欲だと思っていたのだが……」
「これってソイレントホワイトじゃありませんよね……」
「なんだね。それは?」
「俺の田舎では昔、食料危機があってその時開発された液体食料です。非常に安価……にん……有機物があれば製造できて、成人男性の1日に必要な食事をたった一日で製造できる夢の食べ物です」
「ほう……」
「ただそれは非常にまずい。まるで蛆虫を食っているような気分になる最悪な物だったのです……だから白いスープを見るとトラウマで……」
「……庶民はそんなものを食べているのか……」
ベルナーは驚愕の顔をしてスープをすすった。
俺も恐る恐るすする。
「クラムチャウダーか……」
「この辺に海はない。ここらで食べようとすればそれなりにするぞ」
また蛇メイドが来て料理を運ぶ。
メイドたちは俺の事を眼中にないかのように1人と1匹に対して丁寧に奉仕をしているが、
対して俺にはまるで家畜にやる餌をやるような態度と作業だ。
つらい……
目も合わせてくれないや……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます