第41話 第4章 少女の覚悟が決まるまで その1 第三者視点

「ぎゃああああああ!!」

「ひぃいいいいいいいい!!」

 広い青空の下。多くの死体が転がる中、10人の兵士が5体満足だが両手足を縛られ、そのうちの1人が拷問を受けていた。

 拷問しているのはエンドメーカーズ隊長、クリス・ブッチャーであり、受け手はケーニヒとその兵士たちだった。


 キャプテンボマーは兵士の一人のこめかみを掴み、持ち上げる。その手は灼熱のように燃え上がり、周囲の空気を揺らめかせていた。

「あついいいいいいいい!!殺してくれええええ!!」

 兵士はその苦しみに叫び、どさりと落ちる。

 その頭の前方は、灰となって消えていった。だが彼はまだ生きている。

 頭の半分が焼かれたが、血は焼き止められ、死に至るほどではない。しかし、地獄の苦痛が彼を苦しめる。

 キャプテンの手のひらから分泌されたツァーリー薬液によって高温で燃焼し、一瞬にして焼いた事により、最大限痛めつけられるよう調節したのだ。

 それほどまでに彼は自身の能力の使い方と人体の死の閾値について経験によって熟知していた。


「やめてください!そこまでしてはいけません!キャプテンさん!ヴィクターさんの居場所なら、ヘブンズ城。そこなら私が案内できます!だから……」

「だめだ、お前はこいつらの国の人間なんだろ……」

 キャプテンは兵士の腹を強く蹴る。


「ごふっ……」


 兵士は痛みに悶絶し、息を絶え絶えにしながらうずくまる。

「詳しい事情は知らねえが、敵に加担したらお嬢ちゃんは敵に加担した『敵』になる……たとえこいつらに『裏切られた』からだとしても『裏切った』という事実はついて回る。

 この兵士もその家族もお嬢ちゃんを裏切ったわけじゃねえ。国に仕えているだけだ。お嬢ちゃんが裏切ってこいつらが死んだという事実があったらお前にこの国で居場所はなくなる。

 それに、このことを誰も知らなくてもお前の心を蝕む。だからお嬢ちゃんは何もいうな……」

 ルイスは黙って倒れ込んだ兵士を起こした。

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