第40話 第3章 その16

リリリリンン!

 突然、鈴の音が鳴る。

 「おっと失礼、昼ごはんの時間だ。君も食べるといい。いい食材が手に入って時間がかかるがな」

 「え?」

 ベルナーといった男は玉座から立ち上がり、ドラゴンと共に移動をしていく。

 「ぐぎゃぎゃ!」

 ベルナーが離れた瞬間、まるで餌をねだる小鳥のようにドラゴネットが口を開け始めた。

 ひえ……

 「まって!いや!待ってください!」

 たどり着いた部屋には至高の凝らした調度品にシンプルな長いテーブル。そして妙に開けた場所があった。

 ドラゴンはテーブルの近くに座るとするするとメイド服をきた蛇女がやってきた。

 そして、テキパキとドラゴンの手をおしぼりで吹き始めた。

 妙に開けてるのは、このドラゴンもここで食うからか……

 「君はここに座るといい。テーブルマナーも気にしなくていい。何かあったら、そこのナーガメイドのルーシーに言うといい」

 ベルナーと呼ばれた男が席を指さした。

 ナーガメイドがやってきて椅子を引いてくれた。

 俺は恐る恐る座る。

 「長年生きると若い人の話を聞くのが楽しくなるんだ。だから昼食が出来上がるまで話し相手になってくれ」

「へ、へえ……俺より若く見るのですが……」

「あっはっは。ありがとう。そう言ってくれると嬉しいねえ。実はもう300歳になるんだよ」

「じゃあ、やっぱり俺よりずっと若いですね……」

「……」

「庶民ジョークです……」

「ふふっ……あーっはっは!いい!やっぱり人と話すのは楽しいな。」

 よかった……う、うけた……ベルナーは笑顔で腹を抱えていた。俺の話術でここまで笑うとはよっぽど娯楽に飢えてたのだろうか、何とか味方が助けに来てくれるまで命を繋がないと……

 

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