第11話 第1章 その4

 瞬間「ドン」と鈍い音が聞こえた。

 前を見ると近くにデカイ男がいる。

 

「一人でけえのがジャンプして入り込みやがった!」 

 誰かがそう叫んだ。

 うん、目の前にいるこいつがそうかな。こんなやつ部隊で見たことないし。

 体長は190cmほどだろうか、ただ筋肉は常人ではないほど鍛えられている。頭に髪の毛はほとんど生えておらず、肌は緑色。


 鼻は矢じりのようになっており、下あごの犬歯が口から出るほど以上に変形している。一目見て、人間とは違うように思えた。


「グギャアアアアアアアアア!!!」


 言葉になってない声をあげ、ギロリとこちらの方を向く。


「なんかこっち見てないかあいつ……」

 俺は駆け寄ってきたミシェアに質問する。

「これもみーたんの魅了の力ですかねえ♡


可愛いショタっ子もヨボヨボおじいちゃんも誰でもみんな、みーたんのプリチーフェイスとセクシーボディーに夢中ですから♡」

 そうミシェアは言うと、くるりと回って二の腕で乳を寄せ、キメ顔を見せつけてきた。

 本当にこいつは……

 ってか、乳を寄せるな!このメスガキ!ぶりっこフェイスをキメても、その乳に目が行って意味ねえんだよ!このメスガキィ!

 俺はこぼれるミシェアの寄せられた谷間を見ながら心の中で説教をした。

 ミシェアがセクシーポーズを決めていると緑色の大男はこちらに狙いを定めたのか、こちらに向かって走ってくる。

 その速度と表情は尋常ではなかった。

 そして俺とミシェア以外に障害物はない。

 完全に俺たちに向かって走り出している。

「おい!お前がセクシーポーズをしているから興奮してこっちにきたぞ、どうするんだ?」

「あーん♡こわーい♡ドクター守ってぇ♡」

 ミシェアが俺の腕にがっしりとしがみつき、尻をフリフリさせながらぶりっ子のようにニタニタしている。

 本当にこいつってやつは……

 ってか乳が当たる!やめろ!俺の年齢のヤツがお前の歳の女の子の乳でも触ってみろ!俺の今後の人生は終わる!このメスガキめ!それをわかっているのか?と心のなかで呟く。

 ってか、このままでは俺もミシェアも襲われてしまう!

 「ミシェア!早く俺を置いて逃げ……」

 そう言おうとした時、「バシン!」と鈍い音を立てて、体重も100kgはありそうな巨体が物にぶつかったように倒れこんだ。

 目の前にいる大男は突如の衝撃により、何が起きているか分かっていないようで、キョロキョロと何が起きたのか確認してる。


 だが、その時、


「ギャアアアアアアアアアアアアア」と叫び声が聞こえ、メキメキっと骨が軋むような音が鳴り響く


 最後の言葉を振り絞ろうと「ギュエ」と喉が潰れたような音とも声ともとれる鳴き声が聞こえた瞬間。

「ぶじゃしゃぶちゃああああ!!」と音を鳴らして巨漢の頭が車に引かれた空き缶のように潰れていった。


「ひぇッ」とあまりのグロさに声が出ると


「おらああああああああ!!!」


 叫び声と共に侵入した敵の頭はブチブチっ音と共に首から上が背骨ごと分離した。

 そして何もないところから、すらっと引き締まった太ももがムッチリと現れた。そして次第に全身が現れ始め、

全身網タイツの下にちょっとアメスクっぽくて目のやり場に困るビキニを着たセクシーな女性が目の前に立っている。


 口元はどこかの未開拓の原住民が被っているような銀色のマスクを着けていた。


 野性的だが美しい顔つきで見惚れるような女戦士といえそうだったが、そのサラサラヘアーは返り血でカピカピでキレイよりも怖いが来そうな肉食獣の雰囲気だ。

 そして、その魅惑的な短いホットパンツからはみ出る肌……いやその尻は自身の中に眠る野生のDNAが目覚めそうな魅力を放っている。

 くそっ!なんだそのムチムチ太もも!そんなものを見せつけるなんてビッチか?この野獣みたいなこの娘は!と叫びたかったが、心のなかで押さえておくと

 「よお!大丈夫か?、ドクター。怖くなかったか?どんなやつが来てもオレがいつもいるから安心しとけよ」と

 女戦士は優しくもワイルドな感じで声をかけてきた。

 だが、その右手には肉片と頭ががべっちょりとついている。


「ああ、ありがとう……イレイナ・シェイファー……」


 お前の方がこえーよ!とは言えず、とりあえずその肉片は取ってくれ……と心の中で呟いた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る