第8話 第1章 目が覚めたらゴブリンたちが殺されまくっていたのだが…… その1
目を開けると照明器具が眩く光っており、かすかに薬品の匂いが感じ取れた。
「死んだわけではないよな……」
手首には栄養補給用の点滴、隣の花瓶には花が生けられていた。
まるで某ゾンビドラマの冒頭みたいだ……
「あっ。ドクター。マジ心配してたんだから……」
と軽薄そうな声がする方向を見ると魅惑な生足が組まれており、ギリギリスカートの隙間から見える太ももがむっちりとムチムチっ♡となっていた。
ゆっくりと俺は目だけで上を見るとそこには爆乳。ボタンが外れていて卑猥な谷間が覗かせていた。
……
軽く触れて、そのあとはスルーするか……
それに、こいつめちゃくちゃニヤニヤしているし、絶対にわざとだ……
「ミシェアか、何があったんだ?あと、ボタンが外れているぞ」
そう言って俺は起き上がる。ここでこれ以上突っ込んだら、俺の負けだ……
「あーん♡ドクターのえっちー♡」
「冗談はそこまでにしてくれ」
ぷくーと頬を膨らませたミシェアの顔を見ないようにして呼吸を落ち着かせる。
チラリとみるとヤレヤレといった感じに話し始めた。
「この前、ネ・トラレ・ショタガキってやろうがきたよね。そいつが来た時に空爆があったの。将軍様がすぐに気づいて投下爆弾は直撃前に破壊していたんだけど、
どうやらショタガキが何か知ってたみたいでね……」
そう言いながらミシェアはボタンを留めていく。
「それだけ?」
「いやいや、速攻ショタガキの野郎逃げやがったの」
「そ、そうか……」
「あと、それで、あの人。何人か引き連れてあいつらを探しに居なくなちゃったってワケ。トップが脳筋すぎて呆れちゃうから。アタシがこうやってドクターのそばにいてあげたの……
感謝してくださいよねぇ。お礼はマッサージがいいなあ♡座りすぎてお尻がパンパンなんだ~」
「状況は?」
俺は手に付いている注射針を抜き、匂いのキツイアルコールを乱暴にかけて近場にあった絆創膏を張り付ける。
匂いの残る粗悪なものだったが、こんな時代で気にしてはいられない。
「スルーされるの、みーたんはショックなんだってば!もう!あっ、それともパパー♡って言って抱きしめた方が良かった?」
「書類上、保護者としてるだけと言っていたのはミシェアの方だろう」
ぷんすかと頬を膨らませているミシェアの顔は見ないようにして医務室の扉を開くと肉の焼ける匂いがした。
思わず俺は外に駆け出していく。
「ミシェア……何があった……」
「何って……」
じゅうううううううううううううううう
油と肉が焼ける音。この争いだらけの世界で生きてくれば嫌というほど聞いてきた音だ。そして、その光景は今でも覚えている。
戦争はありとあらゆるものを灰に変える。
そしてありとあらゆる生き物は肉であるという事実を嗅覚で皆が知っているのだ。
それを始めて知った時、俺は肉を食べれなくなっていた。
2回目に感じたとき、水で胃に流し込んだのを覚えている。
3回目に感じたとき、歯で噛みしめていた。
4回目には何も感じなくなっていた。
5回目には味を感じていた。
どれだけ凄惨な事が起きても人は慣れていくのだ。
けれども俺は目の前に広がる光景に心が揺さぶられてしまった。
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