第6話 プロローグ その6

 昔、テレビで類まれなる天才は答えはわかるが証明はできないとやっていたが今ならその意味がよくわかる。

チートスキルに平凡な頭脳が合わさると自分でもバカみたいなことをやっても何故か出来てしまうのだ。


 こんなのいったい何に役に立つんだと思って生きていたら、いつの間にか大惨事な大戦がはじまって全世界が戦場のド真ん中。

 そして、終戦したと思ったらまた開戦みたいに毎日がお祭り騒ぎ。

 能力のないもの、コネのないものは最前線にぶち込まれ、飯は配給、毎日庶民は飢え死にに……色々あって大変な生活をするならいっそチートスキルを活かそうと、

 軍部に自分を売り込んだのだ。


 それからはなんだかんだありつつも、それなりの食事や安全にはある程度ありつけている。


研究は打ち切られたが、金は十分にあるし、コネも多い。それに被験者たちに会わなくて済む……


彼らは何も言ってこないが、普通の人間ではなくなっている。それにどちらかと言えば善人とは言えない人も多い。

はやく解散してくれた方が、変に恨まれず、平和に生きれるかもしれない。


 終戦になったら最近買った車でまだ平和な田舎に温泉旅行にでも行きたいな……



 コンコン


と突如としてドアを叩く音が聞こえ、俺は席を立って鍵を外す。


「どなたですか?」


 扉を開くとふわりと甘い香りがして、目の前にいた彼女の目をみるとドキドキするような感覚が襲ってきて顔が熱くなる。

 


「失礼いたします……ドクター。お忙しいところ恐れ入ります」


 おしとやかに目の前に立っていた彼女は綺麗な透き通るような声で語りかけてきた。

 傷一つなく白い肌、絹のようにさらりと黒く長い髪。


 一目見れば見つめてしまいたくなるような美しさ。


 そしてピチっとしたスーツから彼女の奇跡のような体型がわかる。すげえ引き締まった体にムチムチのチチ……

 デッカ……釣鐘型のデカチチ……わあ!マッマ~!バブー!おっぎゃー!はっ!いや!違う!ママじゃない!

でも、こんな美人でデカチチおっとり系人妻系と知的で甘やかしお姉さん系な中間タイプのお姉ちゃんのデカチチ見たら幼児退行しちゃうよ!

 冷静になれ!俺!よし!冷静になった!と脳内で高速処理する。

「アレクシアさん、どうしました?」

「あらあら。私とアナタでは立場が違うのですし、何度も申し上げておりますが名前の方のミカミ……と呼んでくださってもいいのですよ」

 そう言って彼女は困ったように、俺を見下ろしていた。

 ミカミ・アレクシア

 そんな彼女はまさにこの世に生きる女神だといつも思ってしまう。


 すらっとした長い脚に引き締まった腰。モデルのような体型が俺の前に真っ直ぐ前に立つと、そのメートル越えしてそうというか、していると確信できる脅威の胸囲が驚愕的に目の前に飛び込み、自分の中の幼児性が目覚めてくる魅力を放っている。

 上を向くと黒真珠のような透き通る目で見つめられ、その艶やかで華のように惑わせる唇が微笑みかけてくれる。

 下を向くと、その腰つきは陶芸彫刻のように滑らかで服の隙間から見える肌が大理石のように上品に白く輝いており、ふとした動きが蠱惑的に誘ってくる。

 かつて古の工匠たちが自らの想像しうる最高の美を石にこめ、削り。形にしてきたが、彼女をみたらきっと自分の作品を壊していただろうと確信をもって断言できる。


 自分の身長よりも高い彼女は清楚に可憐に優しく慈愛に満ちた表情をいつも崩さない。

 まさに慈愛の母……女神だ…… 


 そんな彼女が自分の秘書をしてくれていると思うと役得だと思っていたが、


 会うたびに緊張していて上手く話せなくて、いつもベットで涙を濡らしていた。

 そんな妄想を1秒間で脳内で繰り広げて正気に戻ると

「いえいえ、俺と貴方に上下の関係はないと思っていますから」

「いえいえ、私が下で貴方が上。昼も夜も主従関係はきっちりと……失礼、少し言葉を間違えてしまったかもしれません……」

 夜の主従関係はエッチな意味になってしまうよ!とは言い出せず。

 公私のけじめ的な意味なんだろうな……と思う。

 言い間違いはよくある話。

 ここでツッコんでしまっては

 『は?セクハラですよ……それ……そんなドスケベ変態の元では働けません。秘書やめます……』

 と言われてしまうかもしれない。

 そんな妄想をコンマ一秒で考えると

「ところでご用件は?」


 気まずい話は無視するのに限る。俺はスルーすることにした。


「お客様でございます」

「客?そんなアポあったかな?」

「いえ……急な訪問でございます……」

 急な訪問が許される立場……上官か……


 本格的に解雇通知を渡しにきたか……


ってアレ? 


 可憐に困惑している彼女のムチっとした足に前世で読んだNTR系ショタおねモノのエロ漫画に出てきそうな小太りで背の小さい男が

 ミカミさんの足に腰をヘコヘコさせていた。


 「ゆぴゃゆぴやややや!ミカミしゃん。ボクチン今夜空いているんだけど!おいちいごはん行かない?高級お酒もあるよぉ」


「アレクシアさん彼は……?」


「お客人でございます」


 彼女の顔を見るとあまり表情は動いていない。その目の奥は虚無そのもののようだ。

 

 いつも優しく俺に微笑んでいる彼女もNTR系ショタおねモノに出てきそうな男には冷たい目をしていると知り、少し心が穏やかになる。

 ショタおねよりもおねショタこそが至高なのだ。

 俺ももう少し若かったら、お姉さんと仲良く……

 それにしてもこのヘコヘコ人間はなんなのだろうか。

 ちいさい男はぬるりとこちらを見居て、気持ちの悪い笑顔を浮かべる。 


「ゆぴゃ?お前がヴィクターだな。今日からお前はボクチンの部下になるのじぇ!」


「は?」


突如として目の前にいる竿役は変な事を言い始めたぞ……


 呆然としていると彼の後ろから声が博士の後ろから聞こえた。


 「失礼……私の名前はチャ・ラオ・ビッグタートル。この小太りな博士、ネ・トラレ・ショタガキ博士の秘書でございます。博士は少々天才がゆえ、話し方が独特でして、女好きで


お酒に睡眠薬をついつい入れてしまうちょっぴりお茶目なちびっこなのですが……失礼話がそれました。


突然で失礼とは思いますがヴィクター博士の研究室の方々を私たちの研究室にスカウトしにきたのです」


 

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