1校時

 皆さんは、一学期最初の授業に何をしたか覚えていますか? 苦手な方もおられたかもしれませんね。


 ちなみに私は苦手でした。自分の席から立ち上がり、趣味や特技を話すあれ。


 そうです。自己紹介です。クラスメイトに一度のみならず、科目と同じ数だけさせられる恒例行事。一時間目から六時間目まで毎回強制されては、生徒が飽きます。私が生徒だったときは、自己紹介なんていいから教科書の内容に入ってほしいと思っていました。真新しい教科書は家で読んできているものの、これから何について学習していくのか早く知りたかったのです。


 教師になった今では、自己紹介をさせることの大切さがよく分かります。

 担任あるいは副担任以外の教師は、週に一回か二回しか会いません。自分の受け持つクラスでは何に興味を持つ人が多いのか、どのような進路を考えているのか、情報収集のために自己紹介をさせるのです。


 私はその後で、自己紹介シートを生徒に配布します。みんなの前では恥ずかしくて話せなかったことを、私にだけは伝えられるために。


 せんせーが好きだって言ってたアニメ、私も好きです。

 おすすめの本があったら教えてください。


 昨年度も私の授業を受けた人は「今年も慧ちゃんで嬉しい。また一年よろしくお願いします!」と書いてくれました。一人だけではなかったことは、本当にありがたいです。


 友達感覚で接する人が多い学校で、腕を掴まれたりタメ口で話されたりすることも。私を含め教師が「○○先生ね」と補足することもしばしばあります。

 そのような現状ゆえ、教えないといけないものは、教科のほかにも一般常識や礼儀なども含みます。


 なお、初回授業で教科書に入れない理由は自己紹介シートを書かせる時間がかかるからではありません。教科書を忘れたり、二年三年は「いらないと思って捨てました」と申し出たりする場合があるからです。教材を持っているかの把握が一番の理由なのでした。

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