せんせー、何点取れるん?
羽間慧
SHR
初めまして。
公立の進学校を卒業した後は、小説家の夢を叶えるため、特化したカリキュラムの大学へ進学しました。教員免許を取ったきっかけは、大学一年生のときに「資格取れるならとりあえず講義を履修しよう」と思ったからです。
大学院で好きな文学の研究を高め、二十四歳で私立高校の国語教師になりました。
子どもが好きという理由で、教師を選んでいません。小学生高学年のときから、店内で騒いだり走ったりする子どもを目にするのが嫌でした。修士課程まで磨いてきた文学の知識を、一番役立てられる場所が学校だったからに過ぎません。
当然、甲高い子どもの声によるストレスは日々感じています。ただ、生徒との会話から小説の種をもらっているので、ラッキーと思うことは多いですね。
信頼関係を築くことで、小説のネタ作りにも繋がるなんて、一石二鳥でしょう?
歩んできた道のりも進んでいく未来も違う、さまざまな個性。彼らの物語の輝きに魅せられ、最大限手を貸す仕事はまさに天職です。
しかし、心ない言葉を教師に浴びせる生徒もいるのです。
敬語を使えない人。
板書を取らせている最中に「何でこんなことさせるん? シャー芯の無駄遣いじゃないんですか?」と強い語気で訊き、レポートを提出したことを労えば「何がありがとうなん? 先生は、ありがとうございますじゃないんですか?」だの「お疲れ様って、なにぃ?」と腹を立てる人。
そういう生徒は教師で態度を変えます。お前ら教師は俺らの学費のおかげで給料出ているんじゃいと、私の前では高圧的になります。
言葉の刃が刺さった状態で、彼らの怒りをなだめて対話を試みる……そんな仕事をしています。
安心して不満が吐けるのは、職員室に帰ってからです。
(学費は、てめえらの出す金じゃねーだろ! 偉いのは、てめえらの保護者だ! 保護者に感謝しろ!)
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