第31話 激戦
剣を抜き放ち、戦況を見る。
戦場は約50mx50mの正方形の空間。
出現した『
こちらの手勢は私とソフィアに『
『
奴等の体躯は見たところ4mほど。
巨大だ、だが巨大故に大量に現れた事で同族が邪魔になり有効な連携が組めずにいる。翼があるため恐らく飛行は可能だろうが、執拗に纏わりついてくる『
私を取り囲む『
3体が前衛、4体が後衛、といった動きをしている。
火の『魔法』を後衛が放ってくる為、射線に注意しないと手数で圧殺されるのは間違いなさそうだ。
敵の注意は私一人に向いている。
上手く注意を惹きつけ、ソフィアの安全を維持しなければいけないね。
(っと、状況は把握できた。
まずは前衛を盾にしつつ斬り伏せていくっ)
『死人』になってから、『生者』であった頃よりも大幅に身体能力は増している。
昔の自分だったら、『
見えるだけではない。
「この程度、受け流すのは造作もないっ!」
横殴りの殴打を、自分から飛び込むようにして潜り込むと跳ね上げる様に受け流し、隣の敵の攻撃に叩きつけるように誘導!お互いに腕を殴り合って怯んだところに剣を叩き込む。
「『Харито』」
「丸見えだともっ!」
射線が空いた事で『魔法』が放たれるが、そう誘導したのだから来るのは分かっている。あえて撃たせた上でそれを躱せばどうなると思うね!?
GYUOOOOOOOOOOOOO!?
無数の炎礫が魔神を打ち据え、打たれた魔神は怒りの声を上げ誤射した者へと視線を向ける。
「ソフィアっ!」「はいっ!」
「「その命、捧げよっ!『
敵の死角から飛び込んできたソフィアが、すぐさまよそ見をした個体に取り付いた。
二人同時に放った『
「飛ぶっ!」オォォォォォォォ……
私の声に反応した近場の
跳躍!
『死人』の身体能力は2~3m程度の高さへの跳躍を容易く実現する。
踏み台があるなら、なお高く!
Gyuaeeee!?
「驚いている暇はあるまいよっ!」
4m近い『
グシャリ、と頭蓋が割れる音を聞き終わるより早く私は周囲に視線を走らせる。
こちらに魔法を放とうとしている奴が……3体かっ!
跳んで移動は愚策と判断、頭蓋を割った魔神の頭部を盾にするようにしながら地面に降りると、傍にいた
「「「『Харито』」」」
「やっぱりかっ!」
魔神達の魔法は予想通り蹴り出した
倒せたのはこれで3体、まだ3体だ。
呼吸はしていないから、息は切れていない。
疲労は死んでいるから感じない。
それでも、気持ちが『疲れる』。
『魂』が悲鳴を上げている。
なるほど、なるほどっ、これが『死人』にとっての『疲労感』というわけだっ!
「死者と言えど無制限に動き回れる程、この世界は甘く出来てはいないという事かねっ!
全く以て度し難いっ、だがっ!」
両目を斬られ、のたうち回っている魔神を盾に取れば後衛に回っていた連中の内、2体が前に進み出て、抜けた2体の代わりに亡者を纏わりつかせた別の一体が滑り込んできたのが見えた。後衛の魔神達は早速詠唱を始め、前に出てきた者達は左右から私を挟みこもうと動き出す。
実に理に適った戦術だよ。
……だがね、こちらも
「兄様っ!」
「ソフィア、よく頑張った!」
オォォォォォォォ……
オォォォォォォォ……
オォォォォォォォ……
倒れ伏していた3体の『
「「「「「!?」」」」」
「馬鹿め、余所見が多すぎるぞっ!」
驚いて私から死線を外した魔神の足元をくぐり、膝裏に一閃、二閃、もう一閃!
筋を斬られ立っていられなくなった魔神は放置、目を抑えて藻掻く魔神に取り付くと「『
流石にこれは拙いと思ったのか、後衛の魔神達が私に『魔法』を放とうと構えるが、横合いから
こうなれば後はこっちのものだ。
「ソフィア、よくやった!
一気に形成を傾ける!」
「はいっ!」
「「その命、捧げよっ!『
『
私達は無事、隠し部屋内の戦闘に勝利できたのだった。
……いやはや、油断禁物だね。
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